健保ニュース
健保ニュース 2026年10月下旬号
国際医療福祉大・大林氏が講演
医療制度改革へ 健保組合に期待
国際医療福祉大の社会保障政策研究所特任教授で日本経済新聞客員編集委員の大林尚氏は13日の情勢報告会で、「真の国民皆保険に必要な医療改革とは~保険者はもっと前へ~」と題し講演し、「健保組合には、医療制度改革に向け、存在感をもっと発揮してほしい」と呼びかけた。
米国の大手自動車メーカー「ゼネラル・モーターズ」の2009年の経営破綻について、背景の一つに、従業員などの医療費負担の重さがあったと説明。高齢化や医療の高度化が続く中、「医療保険財政が、保険料率も含め、健保組合の母体企業の経営に影響を与える時代が来るだろう」と見通し、母体企業の経営にも携わる健保組合の理事長らに対し、より一層当事者意識を持つよう促した。
今後の医療制度改革については、診療報酬を消費税の課税対象にして、医療機関が負担した消費税を患者に転嫁できるようにすべきと主張した。軽減税率の適用などで患者の負担増にも配慮する必要があるとした。
現状、保険診療は非課税だが、診療報酬や薬価には、医療機関が仕入れ時に負担する消費税が反映されている。それでも、MRIなど高額な医療機器の購入や、老朽化した病棟などの建て替えは困難で、「診療報酬改定で手当てする程度ではとても賄えない状況だ」と指摘した。
また、セルフメディケーションの推進にも言及し、そのために重要なのは、「薬局で薬剤師とコミュニケーションを取りながら自分の体調や症状に合う薬を適切に選ぶこと」と説いた。
推進のためには、OTC類似薬を保険給付対象外にすることも考えられるとして、今年の特別国会で成立したOTC類似薬の一部保険外療養の仕組みの導入は、「私から見ると、中途半端な改革に終わり、残念だ」と述べた。
今年度から徴収が始まった子ども・子育て支援金は、岸田内閣の「異次元の少子化対策」の財源としては「異端。常道ではない」との見方を示し、「税財源、特に消費税がふさわしいと思う」と述べた。支援金という形式で保険料に上乗せして徴収することで、「取りやすいところから取る結果になった」とした。
高市政権の政策については、第2次改造内閣で維新の中司氏を規制改革やこども政策の担当相に起用したことに触れ、「維新は子ども・子育て支援金の導入に反対していた。一気に廃止するのは政治的に難しいだろうが、今までと違った動きが出てくると期待している」と述べた。