健康コラム
ほっとひと息、こころにビタミン vol.98

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。
【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕
お互いを思いやるこころと体で健康を守る
若い男女が将来のライフプランを考えながら、妊娠や出産に向けて日々の生活や健康と向き合う「プレコンセプションケア」が注目されています。プレは「~の前」、コンセプションは「受精・懐妊」の意味で、「プレコンセプションケア」という言葉は、妊娠前のこころと体の健康管理の大切さを伝える言葉です。
こうした考え方が注目されるようになった背景の1つには、痩せている若い女性の多いことがあります。これは、痩せている方が美しいという先入観のために、食事を制限する若い女性が多いからです。しかし、低体重になると、いろいろな身体の不調が起こりやすくなります。食事制限が極端になると拒食症になったり、反動で食べ過ぎて過食嘔吐(おうと)を繰り返すようになったりすることもあります。そうした問題にまで発展しなくても、痩せ過ぎている女性が出産すると、低体重児が生まれる可能性が高くなるなど、生まれてくる子どもにも良くない影響を及ぼします。一方、肥満は、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症の可能性を高めます。
低体重や肥満のリスクを抑えるためには、たんぱく質やカルシウム、食物繊維などの栄養バランスを考えながら1日3食きちんと取ることが大事になります。
こうした生活習慣は1人だけで頑張ってできるものではありません。信頼できる人とのつながりが何よりも大事ですし、その中で自分の生きる目的を意識し、自分らしい生活を送る必要があります。そのように考えると、プレコンセプションケアの意義は、妊娠や出産の可能性のある世代だけでなく、全ての世代に重要な考え方だといえます。
大野 裕(ゆたか)
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。