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離れて暮らす親のケア vol.142

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

期待が大きいとガックリ?

遠方で暮らす親に介護が必要になると、「できる限りのことをしてあげたい」と考える人は多いと思います。そのこと自体は良いのですが、親に期待を持たせるとかえって寂しい気持ちにさせることがあります。

Tさん(男性50代)の母親(80代)は実家で1人暮らしをしています。道で転倒してケガをして入院。退院後も、杖(つえ)がないと歩行が不自由になりました。

介護保険の認定は「要介護2」。ホームヘルプサービスとデイサービスを利用しています。Tさんは母親に対し、「これからは月に1~2回は帰省するから頑張るんだよ」と励ましました。退院から半年、Tさんは有言実行でおおよそ3週間に1回帰省。「母は杖(つえ)での生活にも慣れ、サービスを利用して安定した生活を送っています。一方僕の方は、経済的にも時間的にも、体力的にもキツクなってきて……」とTさん。帰省頻度を隔月ペースに下げようとしたところ、母親から頻繁に電話がかかってくるようになりました。「どうしたの?今月はいつ帰ってくるの?」と。母親にとって、Tさんの3週に1回の帰省は当然のこととなり、何よりの喜びとなっていたのです。

通いの介護は長期にわたる可能性があります。体力的に負担となってくるかもしれません。仕事が忙しくなり時間の確保が困難になることもあるでしょう。旅費もかかります。帰省の頻度を高める場合も、先のことまでは言葉にしない方が良いケースもあります。親にとって子の来訪は大きな楽しみのはず。指折り数えているのに帰省しないと、ガックリさせてしまうかもしれません。

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