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企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

株式会社ティ・アイ・ディ

社員一人ひとりが心身ともに健康で活力のある職場環境を

ICTソリューションサービスを提供する株式会社ティ・アイ・ディは、2018年に「健康企業宣言」を策定し、「社員一人ひとりが心身ともに健康で活力のある職場環境」を目指している。2021年には「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」の認定を受け、更新を続けている。同社の取り組みについて、代表取締役社長の江頭勇さん、取締役の杉浦謙さん、執行役員 コーポレートグループ グループリーダー兼アカウンティングチームリーダーの宮内信人さん、同グループ アドミニストレーションチーム チームリーダーの山崎恵美子さん、同チームの泉紀子さん、東京電子機械工業健康保険組合専務理事の藤田光徳さん、同健保組合常務理事の二宮重人さんに話を聞いた。

【株式会社ティ・アイ・ディ】
設立:1956年4月
本社:東京都中央区日本橋大伝馬町12-19 TIDビル
代表取締役社長:江頭勇
従業員数:196人(2023年4月現在)
2018年に「健康企業宣言」を策定

──健保組合からの案内を契機に健康優良企業に


株式会社ティ・アイ・ディ
代表取締役社長
江頭 勇 さん

江頭さん ▶

 当社の設立は1956年です。現在までビジネスを継続できているのは、社員一人ひとりが経営理念(「人と愛」、「信頼と安定」、「基本と継続」)を常に念頭に置いてお客様第一のサービスを実践し、お客様に信頼され続けた結果であると考えています。

 社員が当社の財産であり、事業を継続していく上で社員の健康を守ることが大切です。そのため、2018年に「健康企業宣言」を策定しました。「社員一人ひとりが心身ともに健康で活力のある職場環境」を目指し、適切な働き方(ワークライフバランス)の実現、社員の健康促進、セルフケア・ラインケアの推進という3つの施策に取り組んでいます。

杉浦さん ▶

 月1回、衛生委員会を開いています。産業医にも参加していただき、社員の健康を維持するための方策を検討している中で、東京電子機械工業健保組合から健康経営に関するご案内をいただきました。


株式会社ティ・アイ・ディ
取締役 杉浦 謙 さん

 そこで、「健康優良企業」の取得を目指し、2019年2月に「銀の認定」、2020年9月に「金の認定」を取得しました。さらに、2021年3月に「健康経営優良法人」の認定を受け、現在まで更新しています。認定を目指して取り組みを進める中で足りない部分をブラッシュアップできたと思っています。

山崎さん ▶

 15年前の平均残業時間は19.7時間とそれほど長くはないものの、45時間超の社員が平均12人程度いました。衛生委員会で毎月所属長に長時間となった理由を聴取するなどの取り組みを行うとともに、日報システムで所属長が日々労働時間を確認できるようにしています。

 2021年の平均残業時間は12.3時間、45時間超の社員は平均3人程度とかなり削減されています。IT業界は時期によって業務量が変化するため、継続して取り組んでいきたいと思います。

泉さん ▶

 定期健診の受診率は100%を継続しています。要精密検査の社員には、声かけやメール等で受診勧奨をしています。健診結果は全て産業医に渡しており、ご意見を伺いながら、必要に応じて面談も実施しています。

 また、ヘルスリテラシーの向上を目的に、月1回、健康情報をメールで配信するとともに、社内のイントラネットにも健康情報を掲載しています。困ったときに情報を探すための第一歩として活用してほしいと考えています。


株式会社ティ・アイ・ディ
コーポレートグループ
アドミニストレーションチーム
チームリーダー
山崎 恵美子 さん

山崎さん ▶

 毎年ストレスチェックを実施しています。管理職向けのラインケア研修を毎年行い、チームメンバーの状況を把握するためのラインケアを実施するように促しています。

 メンタル疾患の社員の復職に向けた取り組みにも力を入れており、主治医と産業医が連携して個別の復職プログラムを策定しています。東京都のリワーク支援制度も活用しています。こういった取り組みによって、長く休職していた社員が復職できた実績もあり、フォロー体制はできていると考えています。

 また、新入社員は、ストレスを感じることが多く、人事担当部門が年3回面談をしています。問題があれば、所属長と協力してフォローしており、安心して働けるように年間を通して取り組んでいます。

泉さん ▶

 新入社員は緊張しており、ストレスが高い状態です。気持ちをほぐしながら仕事ができるようにするため、新人研修の際にメンタルヘルス講座を実施しています。ストレスとはどういうものかという知識を身に付け、ワークショップで同期の社員とどのようにストレスを解消しているかを話し合ってもらっています。

 また、アルコール依存や喫煙など生活習慣の見直し等について説明した後に、ストレッチで体を動かし、最後にマインドフルネス瞑想の体験をします。心と体をセットでほぐすことを目的とした講座です。

──ポータルサイトへの登録率を100%に


株式会社ティ・アイ・ディ
コーポレートグループ
アドミニストレーションチーム
泉 紀子 さん

泉さん ▶

 健保組合には、人間ドック、胃の検診、婦人科の検診、歯科検診等について補助をいただいており、感謝しています。補助を活用した人間ドックの受診率が向上しており、より詳細に自分の健康状態が把握できるようになっています。若い時から健康を気にし、35歳未満で胃の検診を受診する社員も増えています。健診・問診結果を分析した会社全体の統計データも提供していただいており、健康経営の施策を策定する上で重要な指標となっています。

 また、当社は、デスクワークが多く、運動がしづらい環境ですが、ウオーキングキャンペーンなどを実施していただいているのもありがたく思っています。チャレンジする社員が増えるように推進していきます。

藤田さん ▶

 平均寿命と健康寿命に差がある中、若い現役世代の頃から自分の健康に対する関心を深め、健診を毎年受けて自分の健康状況を確認し、セルフマネジメントする習慣をつけていただくことが重要です。

 そのために特定健診・特定保健指導やウオーキングキャンペーン等の健康づくり事業を積極的に実施することが健保組合の役割であり、当健保組合からの案内を契機に健康優良企業の認定に向けて取り組まれたことを嬉しく思っています。

 企業にとって人材は大切な資源であり、社員が健康で働くための施策を重点的に実施されています。健保組合にとっても従業員は大切な加入員です。企業と共通の視点を持っており、協働して健康づくり事業を実施することによって、より効果的な対応ができます。それがコラボヘルスです。

 当健保組合の健康づくり事業を健康経営の取り組みの中で活用していただいています。今後も、お話をよく伺いながら、事業を充実させていきます。


株式会社ティ・アイ・ディ
執行役員 コーポレートグループ
グループリーダー
兼アカウンティングチーム
リーダー 宮内 信人 さん

宮内さん ▶

 当社の歴史は長く、設立から68年を迎えています。幅広い年齢層の社員がおり、定年後に再雇用で活躍している社員も多い。数年後には60歳超の社員が1割を超える見込みです。

 就労世代の活力向上と健康寿命の延伸を実現するためには、働きやすい環境づくりに加えて、社員のヘルスリテラシーを向上させていくことが重要です。それには、各個人の健康情報と年齢に沿った正しい情報が必要となります。これらの情報を管理している健保組合との連携を強化し、社員の健康意識を向上させるための施策を展開していきます。

 第1に、健保組合のポータルサイト「MyKempo」への登録率100%を目指します。社内の掲示板やイントラネットに「MyKempo」を活用するメリットをお知らせして登録者を増やしていきたいと考えています。

 「MyKempo」では、過去の健診結果の個人記録を閲覧できます。ウオーキングや禁煙チャレンジ等のさまざまな健康促進キャンペーン情報も掲載されています。保養所、メンタルヘルスの相談窓口等のサービス利用の申し込みができます。登録者には定期的にイベントのお知らせが届くため、健康に対する興味や関心が高まる効果も期待しています。

 第2に、健保組合に衛生委員会に参加していただき、健康情報の提供やリテラシー向上の取り組みを展開していきます。健保組合のサービスやトレンド情報を提供することで、健康無関心層が興味を持つきっかけをつくりたいと思います。

 健保組合や産業医から健康に関するアドバイスをしていただくことによって、社員が健康情報をどのように利用するかを学んでいきます。今後も若手から年配まで社員一人ひとりが心身ともに健康で安心して働ける環境づくり、健康づくりの施策を実施していきます。

──従業員の家族も視野に入れた健康づくりを


東京電子機械工業
健康保険組合 専務理事
藤田 光徳 さん

藤田さん ▶

 当健保組合には、約830事業所に加入していただいています。従業員が1万人を超える事業所もあれば、10人未満の事業所もあります。事業形態も幅広く、事業所によってニーズが異なっている中、実効性のあるプログラムをどのように提供していくのかが課題です。

 定年後も働きたいという従業員の思いが叶うような健康づくり事業を展開していきます。そのためにも、事業に参加をいただきながら、気が付いた点があれば、教えていただきたいと思います。事業所の声をよくお聞きして、ニーズにあった保健事業をメニューに加えていきます。

江頭さん ▶

 当社は、ITサービスの会社であり、人が大事です。お客様のニーズをつかみ、ソリューションサービスを提供することが重要です。ニーズにあったサービスを提供するためには、経験とノウハウが必要であり、ベテラン社員の力が欠かせません。ベテラン社員の健康を守ることが非常に大切であり、コラボヘルスの取り組みをさらに強化していきます。


東京電子機械工業
健康保険組合 常務理事
二宮 重人 さん

 現在、創業100年に向けて頑張っています。社員一人ひとりが明るく元気で前向きに業務に取り組んでいけるように健康経営に注力していきます。引き続き、社員一人ひとりの健康を守る健康経営を推進・徹底していきます。

二宮さん ▶

 社員の方を大切にするという強い想いを感じます。事業所は、従業員に一番近い存在です。従業員のご家族が健康であることも、安心して働くことができる1つの基盤であると考えているため、従業員のご家族の健康の保持・増進も視野に入れて、健保組合のサービス、健診事業、施設事業等をぜひ活用していただきたいと思います。

健康コラム
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