健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.31

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

親の介護への不安

相 談私の父(75歳)は、5年以上前からアルツハイマー型認知症で、私が働いている特別養護老人ホームに入所しています。手の拘縮(関節の可動制限)が強く、左右ともに自由に動かない状態です。

日中は車いすで過ごし、食事介助は全面的に私が行っています。とろみがついている食事でもむせることがあるので、社会福祉士から「口からの食事は諦めて、鼻からのチューブや胃ろうで栄養摂取することにしてはどうか」と提案されています。しかし、私はできる限り口からの食事にこだわりたいと思っていますし、1日でも長く父に生きていてもらいたいので、可能な限りの延命治療も望みたいと思っています。

一度、施設の人に「自宅に連れて帰って看たいと思っているのですが……」と申し出たところ、「何を考えているの!?」と強く反対されてしまい、それ以来、自分の希望を伝えることを控えるようにしています。

家族は母と姉がいるのですが、母は仕事が一番の関心事で、父には無関心です。姉は経済的に援助してくれますが、母と性格や考え方が似ているので、父の話をすることすらできません。徐々に衰えていく父を見ているとつらいのですが、この先、どうすればいいのでしょうか。

コメント山口育子(COML)

大事な親のことですから、1日でも長く生きていてほしい、人間らしく口から食事を取ってほしいと望むのは当然の気持ちだと思います。また、現在は職場である特養に入所されているので、娘さんの希望に沿った看護も実践できているのかもしれません。

今後のことを考えたとき、親の介護やどのような医療をどこまで受けるのかについては、家族で十分に話し合っておくことが大切です。ただ、その際に問題になるのは、家族だからと言って決して意見が合致するとは限らないということです。そのため話し合いを後回しにしがちで、いざというときになって揉めてしまうことも少なくありません。

まずはご自身の思いをお母さんやお姉さんに伝え、お二人の意見を聞いて話し合うことから始めてはどうでしょうか。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

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〈月・水・金 10:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉 ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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