健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.64

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

術後の経過が芳しくないのでカルテの開示を求めたい

相 談78歳の母は10年前に網膜色素変性症と診断され、眼科クリニックに通院しています。数年前から白内障も発症して、しばらく様子をみていました。

昨年、眼科医から「白内障も進んできたので、手術を受けませんか?網膜色素変性症があるのですっきり見えるほどに改善するのは難しいと思いますが、今よりは見えるようになると思います」と言われました。母は少しでも見やすくなるのだったらと、手術を受ける決意をしたのです。

ところが手術の結果、術前より見え方が悪くなり、「白いモヤモヤが常に視界にあって、まぶしくて仕方がない」と部屋のカーテンを閉めて引きこもるようになってしまったのです。そこで私が眼科クリニックに行って医師から説明を受けたのですが、「手術は成功しています」としか言ってくれませんでした。

行政がやっている相談窓口にも相談したところ、対応してくれた看護師は、医師の味方をするような発言を繰り返します。私が「カルテの開示請求をしたい」と言ったら、「それは訴訟をする人がすることだから、やめておいた方がいい」と言われてしまいました。今でもカルテの開示請求をすると、そのように受け止められてしまうのでしょうか。医師が詳しく説明してくれないので記録を見たいだけなのですが。

回 答山口育子(COML)

もちろん、カルテの開示請求をすることで問題のある人とみられる訳ではなく、患者側の当然の権利です。むしろ、医療訴訟を起こす場合は、カルテの開示よりも証拠保全が行われることが多く、カルテだけでなく、看護記録、検査データ、画像など全ての記録の目録を作成し、それを裁判所命令によって提出されたものをコピーしたり、写真に撮ったりします。

カルテの開示を希望する場合は、「手術を受けた記録を自分でも保存し、今後の治療にも活用したい」と目的を伝えてみてはいかがでしょう。また、お母様の目の状態については、客観的な見解をセカンドオピニオンとして求めることも一つの方法ではないかと思います。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉 ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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