HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.18

ほっとひと息、こころにビタミン vol.18

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

気持ちを切り替えるコツ

嫌なことがあったり怒られたりすると、誰でも気分が落ち込みます。その後すぐに気持ちを切り替えることができるといいのですが、それができずに気持ちを引きずってしまうことがあります。そのようなときの気持ちの切り替え方について、今回は紹介します。

そうしたことを防ぐためには、2つのことに気を付けると良いでしょう。それは、朝決まった時間に起きることと、日中に楽しいことややりがいのあることを増やすことです。

その方法は2つあります。それは、「行動」を使う方法と「イメージ」を使う方法です。まず、行動を使う方法ですが、それは全く関係ない行動をすることで気を紛らわせるというもので、専門的には「気ぞらし法」と呼ばれたりしています。気持ちを引きずっているときには、あれこれ嫌なことを思い出したり考えたりしています。それをそのままにしていると、嫌な出来事が頭のなかに浮かんで、ますます気持ちが落ち込むという悪循環が起きます。そのようなときには、それ以上不安な考えにとらわれないで済むように体を動かすのです。それは、ストレッチでも、部屋の片付けでも、友だちにLINEをしたり、外に出て散歩をしたり、何でも良いのです。ただ、そのときに、嫌なことを考えないで済むように、その行動に集中するようにしてください。

もう1つの方法は、これまでに良かったことを思い出すようにするというものです。特に体を動かすのがおっくうなときに役に立ちますが、これまでに体験した楽しかったことや嬉しかったことをイメージのなかで思い出すようにします。そのときには、できるだけ細かく、その場にいるかのように思い出すようにしてください。そうしているうちに、嫌な気分はどこかに飛んでいってしまっているでしょう。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

バックナンバー