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企業・健保訪問シリーズ

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ

フォスター電機株式会社

人財は経営の根幹 多様な働き方と健康のサポートは不可欠

今年創業70周年を迎えた、スピーカーやヘッドホンなどの音響機器メーカーのフォスター電機株式会社。グローバルに事業を展開する同社は、働き方改革やダイバーシティ推進とともに、企業経営に必要不可欠なこととして健康経営に積極的に取り組んでいる。加入する東京金属事業健康保険組合と連携し、2018年12月に健康企業宣言東京推進協議会が運営する「健康優良企業 金の認定」を取得。19年2月には「健康経営優良法人」に認定された。同社の健康経営の取り組みや健保組合とのコラボヘルスについて、フォスター電機専務取締役社長補佐兼グローバルコーポレートサポート本部長・成川敦さん、同社人財開発部長・宮岡直樹さん、同部次長・須永晴美さん、同部・橋都紗希さん、東京金属事業健保組合常務理事・久木野正一さん、同健康管理部コラボヘルス課長・杉原宏和さんに話を聞いた。

【フォスター電機株式会社】
創 業:1949年6月20日
本 社:東京都昭島市つつじが丘一丁目1番109号
代表取締役社長:吉澤博三
従業員数:25,601人(2019年3月末現在・中国・番禺の製造委託先を含む)

──健康経営は、社員を大切にするということ


専務取締役社長補佐
兼グローバルコーポレート
サポート本部長
成川 敦 さん

成川さん ▶

 当社は100 年企業を目指し、「未来社会に音で貢献する」ことをビジョンとして掲げ、企業活動を行っています。企業経営は「人、モノ、カネ」といいますが、最も重要なのが「人財」です。日本国内はもちろん、世界的にも人財が不足しているなか、ダイバーシティの推進や定年延長、フレキシブルな働き方ができる環境整備は当然ですが、そこで登用された人が健康で実力を発揮しなければ企業経営はできません。人財の重要性を考えたときに、健康は非常に重要です。われわれが健康経営に取り組むのは、その必要性を切実に感じているからであり、健康経営はわれわれの経営の中心にあるものです。

宮岡さん ▶

 当社は2010 年頃から働き方改革やダイバーシティ推進を本格的に進めてきました。その流れの中で健康経営にも取り組んできたことが、結果的に良かったと思います。


人財開発部長
宮岡 直樹 さん

成川さん ▶

 働き方改革もダイバーシティ推進も健康経営も根は一緒で、どうしたら社員が実力を発揮しやすい環境にできるか、どれだけ社員を大切に思っているか、ということだと思います。例えば、健診後の再検査等のフォローを徹底しているのも、会社として社員の健康を重要と考えているからです。17年に「フォスター電機健康宣言」を行って施策を強化し、「健康優良企業 金の認定」の取得や「健康経営優良法人」に認定されたことで、当社の制度や施策の意義、価値を社員やそのご家族にも改めて広める良い機会になったと思います。

──健保組合とのコラボヘルスを推進


人財開発部次長
須永 晴美 さん

須永さん ▶

 17年の「フォスター電機健康宣言」に基づいて計画を立て、施策を展開していますが、社員の健康維持・増進に向けた取り組みはそれ以前から行ってきました。その際に、健保組合からもらうデータが、どこに焦点を当てて取り組めば良いかという方向性を見いだすのに大変役立っています。

久木野さん ▶

 昨年度から国が全健保組合に「健康スコアリングレポート」を出していますが、当健保組合はそれ以前から健診・レセプトデータの分析結果を加入事業所に配付しており、各事業所の社員の健康状態や医療費の状況を健保組合の平均値と比較して、課題が分かるように示しています。

 また、コラボヘルス課という部署をつくって対応しており、健康企業宣言や健康優良企業認定制度について事業所に伺って説明して、認定取得に向けて支援しています。現在、約1300事業所のうち50社が健康企業宣言に参加しており、「健康優良企業 金の認定」を取得した事業所は3社です。フォスター電機は従来から充実した取り組みをしていたため、「健康優良企業 銀の認定」「金の認定」を取得できる環境がすでに整っていましたし、担当の方がたが積極的に取り組んでいるのでスムーズに連携できています。


東京金属事業健保組合
健康管理部コラボヘルス課長
杉原 宏和 さん

杉原さん ▶

 フォスター電機の特定保健指導は当健保組合の保健師等が事業所に伺って実施しています。17年度の特定保健指導実施率は21.4%で、総合健保組合の中では高い方に位置していますが、フォスター電機は48.1%と非常に高い状況です。皆さんのご理解、ご協力があるからこそです。

宮岡さん ▶

 当社では19年度の目標として、定期健診受診率100%維持、特定保健指導実施率80%達成を掲げています。出張等の事情で受けられない場合もありますので80%としていますが、この目標値は、対象者は全員受けるのが当たり前という会社からのメッセージなのです。

須永さん ▶

 特定保健指導の対象になった社員には「あなたの健康にとって重要なものですので受けてください」と1人ひとりに必要性を説明して、受けるように促しています。静岡と大阪の事業所の社員には、テレビ電話で保健指導を実施してもらっています。

杉原さん ▶

 特定保健指導は健保組合に実施義務がありますが、対象者には受ける義務はありません。そのような中で、事業所として対象者へ保健指導の重要性を丁寧に説明してもらえることはとても助かります。重要性を理解してもらった上で保健指導を受けてもらうことは実のある保健指導につながります。

──楽しみながらできる健康づくりを支援


人財開発部
橋都 紗希 さん

橋都さん ▶

 現在、本社に喫煙室が2カ所ありますが、20年のオリンピック開会式の日に敷地内全面禁煙にする方針で動いています。そこで、禁煙を促進するために3カ月の卒煙に成功した社員に費用補助をする「卒煙支援プログラム」を実施中です。禁煙外来受診など、方法は各自で選択します。ただ、禁煙は孤独との闘いなので、社内で非喫煙者のサポーターを指定してもらい、サポーターと二人三脚で頑張ってもらいます。当社では健康ポイント制度を導入していて、健診受診や健康イベントへの参加等でポイントが付与され、ポイントに応じて健康グッズやサービス利用に使えたり、換金できたりします。「卒煙支援プログラム」で3カ月の卒煙に成功すると、サポーターもポイントがもらえるので、皆さん力が入りますね。今のところ参加者6人全員が成功し、現在1人チャレンジ中です。

成川さん ▶

 今年は、賞与支給時の社長からのメッセージとして、家族も含めてわれわれは健康について真剣に考えていることを伝えるとともに、「卒煙支援プログラム」への参加を呼びかけました。

須永さん ▶

 やはり、トップが強力にメッセージを出すことで、社員は注目しますし、推進する側としても取り組みやすくなります。年間計画を立てて健康づくりプログラムを実施しているのですが、なかでもウォークラリーは参加者が増えていて、健康意識の高まりを感じますね。

橋都さん ▶

 ウォークラリーは、1週間ごとに歩数を提出してもらい、イントラネットでランキングを公表しています。これがもっと頑張ろうというモチベーションになっているようです。

須永さん ▶

 そのほか、健保組合と連携した取り組みとして、健康セミナーを毎年、内容を変えながら実施しています。セミナーへの参加もポイントが付きます。

橋都さん ▶

 健康セミナーは就業時間内に実施しており、参加は任意ですが、他の事業所や出張中の社員も多いので、ビデオ撮影をしてイントラネットに掲載して観られるようにしています。


東京金属事業健保組合
常務理事
久木野 正一 さん

久木野さん ▶

 健保組合としては、加入事業所の要望があれば出向いて健康セミナーを実施しています。イントラネットへの掲載は、1回のセミナーでも効果が十分行き届きますので、健保組合としてもありがたいです。

橋都さん ▶

 また、今年は健康セミナーをきっかけに、休み時間を活用したエクササイズを企画しています。会社の健康づくりは真面目に推進しないといけないイメージがあったのですが、企画する側としては、遊び心があって、参加して楽しくて健康になれる、健康の知識が増えるといったものの方が参加しやすくて良いと思います。

──健康経営推進のポイント

宮岡さん ▶

 健康経営を安全衛生の切り口で進めると、会社のリスク管理のために取り組んでいるイメージになりがちです。「社員を大事にする」ということが根底にあって、そこからいろいろな施策を展開していることが伝われば、受け入れてもらいやすいのではないかと思います。働き方改革や働きやすい職場づくり、コミュニケーション活性化など、他の施策と一体的に推進する方が受け入れられやすいと実感しています。

成川さん ▶

 健康経営推進のポイントは、管理者に社員の健康について気を配ることの重要性をよく認識してもらうことだと思っています。

 また、担当者が出してくるアイデアを、まずはやってみるという姿勢で進めるのが良いと思いますね。そして、社員1人ひとりに対して、会社が健康をいかに重要に考えているかというメッセージを継続的に伝えていくことが重要だと考えています。

杉原さん ▶

 総合健保組合にとって、事業所とのコラボヘルスは非常にハードルが高いのですが、事業所訪問でいろいろな立場の方や担当者と腹を割って話し、それぞれの事業所の事情や特徴を知ることができ、信頼関係を築いていけます。事業所訪問の重要性を実感しています。

久木野さん ▶

 健保組合は、加入事業所や加入者の方がたと運命共同体です。事業所の経営がうまくいくには働いている人が健康であることが重要で、健康であればいい仕事ができて、いい仕事をすると企業の業績が伸びて、結果的に保険料収入が増えて健保組合の経営も良くなるということです。さらに、退職後も健康で健康寿命が延びて、東京金属事業健保組合に入っていて良かったと思ってもらえるようにサポートしていきたいと思います。