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企業・健保訪問シリーズ

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ

コガソフトウェア株式会社

無関心層の行動変容やイベント等を通じて社員の健康づくりを推進

ソフトウェア開発・インフラ開発事業を中心に、交通、健康、環境の領域で社会貢献事業にも取り組むシステム開発のコガソフトウェア株式会社。2017年9月の「健康企業宣言」の策定を契機に、社内プロジェクトの健康経営推進室を発足させ、加入する関東ITソフトウェア健康保険組合と連携し、19年12月に健康企業宣言東京推進協議会から「健康優良企業:金の認定」を取得。20年3月には「健康経営優良法人」に認定された。同社の健康経営の取り組みなどについて、代表取締役社長・古賀詳二さん、健康経営推進室のメンバーである、研究企画部長・藤﨑淳矢さん、営業部主査・善養寺雅規さん、営業部兼総務部・蓑輪梓さん、研究企画部・櫻井敬子さん、関東ITソフトウェア健保組合の常務理事・成田直人さん、企画課課長代理の大塚登志子さん、同課企画係の大友美幸さんに話を聞いた。

【コガソフトウェア株式会社】
創 業:2000年3月21日
本 社:東京都台東区上野1丁目17番6号 広小路ビル4階
代表取締役社長:古賀詳二
従業員数:94人(2020年4月現在)

──健康づくりの取り組みの経緯


コガソフトウェア代表取締役社長
古賀 詳二 さん

古賀さん ▶

 当社の創業は2000 年です。IT業界、ソフトウェア業界は〝3K〟(きつい、帰れない、給料が安い)職場といわれる中、3K撲滅を目指しながら、経営理念の1つである「社員並びにその家族が穏やかなる精神を持てる職場文化を育成する」 のもと、健康づくりにも取り組んできました。

 12年から第2創業として、健康寿命の延伸と社会保障給付費の抑制をテーマにソフトウェア技術を活用する取り組みを展開してきましたが、その後、社員から「その延長線上に健康経営がある」「健康優良企業の『金の認定』取得を目指したい」といった提案があり、17年に「健康企業宣言」を行い、社内プロジェクトとして発足させた健康経営推進室を中心に本格的な取り組みを開始しました。


コガソフトウェア研究企画部長
藤﨑 淳矢 さん

藤﨑さん ▶

 お客様や当社の共通の課題として、健康無関心の社員へのアプローチがありました。そこで使用したのが「AIDMAモデル」という消費者行動を促すための手法で、無関心層に健康的な行動を起こさせることにも当てはまると考えました。

 具体的には、▽社員に健康に関する注意を引くきっかけを与える(Attention)▽社員に健康への関心を持たせる(Interest)▽社員に健康になりたいと思わせる(Desire)▽社員の記憶に残すように仕掛けを作る(Memory)▽社員に健康増進行動を起こさせる(Action)――の5つがあります。

 注意を引く仕掛けとして、メディカルフィットネスというシステムを使用しています。毎年、社員が全員集まる社員会のタイミングで計測し、レポートを作り、1人ひとりにパーソナルトレーニングメニューを渡しています。関心を持たせる仕掛けでは、レポートに工夫を加えています。実際の年齢とレポートに表示される健康年齢の差分などをみることで、今の自分の健康状態に気付きを与えています。

 健康になりたいと思わせる仕掛けでは、管理栄養士と健康運動士といった専門職が1人ひとりにアドバイスを行っています。記憶に残す仕掛けでは、紙のレポート結果だけではなくスマホアプリと連動して確認できるようにしています。現在、社員全員にウェアラブルセンサーを配布する準備を進めている他、アプリでは、睡眠評価や消費カロリー、移動距離もウェアラブルセンサーと連動させることで、さらに詳細に分かるように準備を進めています。健康増進行動を起こさせる仕掛けでは、アプリを通じてイベント開催を配信しています。

 このように、健康無関心の社員の興味を高め、会社全体として健康になっていくための取り組みを進めています。

──オンライン教室で運動を支援


コガソフトウェア営業部主査
善養寺 雅規 さん

善養寺さん ▶

 「健康優良企業:銀の認定」に関するセミナーで自己採点をした結果、すでに「銀の認定」レベルの取り組みはできていることが分かりました。「銀の認定」取得後、「健康優良企業:金の認定」を目指し、健康面では、肥満対策に力を入れた他、歯の疾患から健康を崩すことがあるため、歯科検診費用を補助しています。また、新型コロナウイルス感染症対策にも関係しますが、感染症予防としてインフルエンザ予防接種費用を全額負担しています。社員の健康を維持するための費用は、できるだけ会社で負担する取り組みを実施しています。

 運動面では、週2回業務時間中に15分、また月に1回、筋トレをメインとした健康運動士による1時間オンラインストレッチ教室を実施しています。簡単に体を動かすことで興味を持ってもらい、楽しみながら運動を行う取り組みです。

 食事面では、管理栄養士考案の簡単で栄養価の高いメニューを作って食べる、オンラインお料理室を実施しています。

 また、メンタルヘルス対策にも積極的に取り込んでいます。その1つが、健康経営推進室のメンバーが中心となり、何かあったときに誰かに相談できるような関係性を築くため、社内のコミュニケーションの活性化を目指した社内イベントを充実させ、頻繁に開催しています。

 もう1つが、会社負担で全社員をがん保険に加入させ、付帯サービスである24時間電話健康相談で専門家によるメンタルサポートをいつでも利用できるようにしています。

 さらに、健康経営推進室で健康経営に関する本格的な取り組みを実施する前には、社長がスーパーフレックス制度の導入を提案しました。コアタイムがないフレックス制度なのですが、個人の体調に合わせて出勤・退勤時間を決めることができるため、身体・精神面への好影響とともに、全体的に残業時間を大幅に削減できるなど、生産性の向上にも寄与しています。

 このように、「健康優良企業:金の認定」取得に向けて、当社に足りない部分を手厚く取り組んできた結果、関東ITソフトウェア健保組合の支援もあり、無事に取得することができました。「健康経営優良企業法人」についても、これまでの取り組みをレポートにまとめ申請したところ、認定をいただくことができました。これで、堂々と「健康経営企業」と名乗れるようになりました。


コガソフトウェア営業部兼総務部
蓑輪 梓 さん

蓑輪さん ▶

 私自身は、健康経営の知識がないまま健康経営推進室のメンバーとなりましたが、イベント開催等の活動を通じて、健康経営について段々と理解していきました。参加者も増えてきており、気軽に話ができるようになるなど、皆の気持ちの変化を感じています。

 また、健康新聞を毎月発行しています。年1回実施している社内アンケートを踏まえ、食事をはじめ興味を持ってもらえる話題を取り上げるなど工夫しています。社員からは「今月の話題は面白い」など、嬉しい声も聞かれるようになりました。


コガソフトウェア研究企画部
櫻井 敬子 さん

櫻井さん ▶

 さまざまなイベント等は、基本的に健康経営推進室が企画していますが、これらは社員の充実度をもとに私たちが組み立てて行くことになります。そうした意味では非常にやりがいを感じています。社員の笑顔を作り出せる場を提供できるのは、本当に素敵なことだと感じています。

成田さん ▶

 コガソフトウェア株式会社は、当組合の加入事業所で「健康優良企業:金の認定」を取得した第1号です。社長以下、健康に関する意識が高く、例えば、社員の健診受診率は100%と伺っています。このように、これまでの健康経営に関する取り組みの積み重ねが結果につながったと思っており、高く評価しています。

大塚さん ▶

 「健康優良企業:銀の認定・金の認定」の申請でサポートさせていただいたのですが、さまざまな健康経営の取り組みとともに、社長からも健康に関する多くの発信がされています。他の加入事業所から相談があれば、コガソフトウェアを参考にしながら、健康経営の取り組みを広めていきたいです。


関東ITソフトウェア健保組合企画課企画係
大友 美幸 さん

大友さん ▶

 特にイベントの開催に力を入れているなど、興味ある取り組みが多く、今後の組合事業の取り組みにも参考になります。

──健康企業宣言の広がりが必要

古賀さん ▶

 IT 業界で健康企業宣言をしている企業はとても少ない状況です。健保組合には、もっと各企業に声を掛けていただければと思っています。


関東ITソフトウェア健保組合企画課課長代理
大塚 登志子 さん

大塚さん ▶

 加入事業所数は約7千社なのですが、健康企業宣言を行っているのは250社ほどです。健保組合としても、広報誌やHPなどを通じて情報を発信しているのですが、どう発信していけば効果的なのか、今後検討していきたいです。

成田さん ▶

 加入事業所の健康企業宣言の取り組みをサポートする立場ですが、新型コロナの影響もあり、停滞している状況にあります。しかし、健康企業宣言により、社員の健康に対する意識や満足度が高まるのは確かであるので、今後いろいろと情報を発信しながら、一層のサポートをしていきたいです。

──今後の課題と取り組み

古賀さん ▶

 一番悩んでいるのが高齢者の雇用延長です。肉体的な健康だけなく、メンタルの健康も重要になると思っています。そのために会社や個人は何ができるのか。大きなテーマですが、将来に夢や希望を持てる企業でありたいし、そのためには、夢や希望も持てる社会、国家を描く必要があると思っています。

藤﨑さん ▶

 健康の重要性は、社長のみならず健康経営推進室のメンバーも思っています。ただ社員がそう思ってくれないと、歯車は回っていかないです。もちろん、押しつけも駄目です。

 だからこそ、自分たちが楽しみながら、社員も楽しんでくれる仕掛けづくりをもっと底上げしていきたいです。それができれば、自然とサイクルが上手く回ってくれると思っており、そこが一番のポイントだと思っています。


関東ITソフトウェア健保組合常務理事
成田 直人 さん

成田さん ▶

 国が全健保組合に「健康スコアリングレポート」を出していますが、当組合は今年度から、コラボヘルスの一環として、希望するコラボヘルス参加事業所や健康企業宣言をしている加入事業所を中心に、独自の「ITSヘルススコアリングレポート」を送付します。各事業所の健康経営の取り組みや意識の向上に役立てていただき、さらなる推進のために活用いただきたいと思っています。