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Dr.石川のちょっと健康相談 vol.19

テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に日常生活に感じるちょっとした不調について解説していただきます。これを機に、自分のカラダに目をむけてみてはいかがでしょうか。

今月のテーマは「足がつる」です。

10月「足がつる」

足がつるというのは足の筋肉が意思とは関係なく強い収縮を起こし、縮んだままになる状態をいい、その代表的なものは「こむら返り」といわれるものです。

「こむら」とは、ふくらはぎの古語で、主にここがつれることからこの名前がついています。足の甲や、足の裏、手や腕、大腿筋、腹筋、まれに口の中や目の筋肉にも起こることがありますが、これらはすべて「こむら返り」と呼ばれています。

「こむら返り」のメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、おそらく脊髄の中にあって、筋肉を伸ばしたり縮めたりする働きを自動調節している細胞(前角細胞と呼ばれている)の働きがなんらかの原因でうまく作動しなくなり、筋肉が収縮したまま元に戻らず、「こむら返り」が起こるのではないかと考えられています。

この自動調節メカニズムがうまく作動しなくなるのは筋肉の使いすぎで、「こむら返り」のほとんどがこれにあたります。運動した日の夜、寝ているとき足がつるのは疲労で自動調節メカニズムが狂い始めているところへ、寝返りをしたり、ふだんと違う姿勢をとったことが引き金となるからと考えられます。

大汗や激しい下痢などで脱水状態になると自動調節メカニズムが狂いやすくなるので「こむら返り」は起こりやすくなります。水泳で足がつるのは、急に冷たい水に入ったことで血管が収縮し、血液循環が悪くなったために、自動調節メカニズムを狂わせたことが原因と推測されます。

「こむら返り」は、椎間板ヘルニアや脊椎管狭窄症などの腰椎疾患にしばしばみられます。そのほかにも、腎不全、肝硬変、糖尿病、甲状腺機能亢進症などさまざまな病気で起こるし、妊娠中にもよく認められます。

「こむら返り」が起きたときの対処法は、収縮したふくらはぎを伸ばすことです。そして、治まっても1時間くらいは安静にしているほうがいいでしょう。「こむら返り」を起こしやすい筋肉を1日3回くらい、とくに運動前と寝る前によく伸ばすことも効果があります。

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