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ほっとひと息、こころにビタミン vol.68

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

人との付き合い方も人さまざま

先日タクシーに乗って運転手と話をしていたところ、私の出身の愛媛県の隣の香川県出身だと分かりました。会話の中で、中学時代に友達2人と自転車で9日間かけて四国一周をしたときの香川県での体験について話をしたところ、その人も高校時代に自転車で四国一周をしたということでした。

自転車旅行の楽しみと苦労について話が弾みましたが、タクシーを降りた後、大人になってからそうした友達付き合いが極端に減ったことに気付きました。私の場合、故郷を離れて東京で生活をするようになったことが影響しているように思います。それだけではなく、高齢になるにつれて、ますます出不精になって、最近は仕事を離れて友人と交流することがほとんどなくなっています。

その一方で、私は幸いなことに、家族と一緒に多くの時間を過ごすことができています。「人薬」という言葉がありますが、私たちは人と交流することでこころが癒やされます。孤独な生活が続くと、こころや体の不調が増えることも分かっています。安心できる人との交流は、自分らしく健康に生きていくためにとても大切なのです。

だからと言って、誰もが人付き合いを増やした方が良いというわけではありません。人間関係の持ち方は人それぞれ違っています。人によっては、いろいろな理由から、1人でいる方が落ち着くかもしれません。そうした人は他の人と無理に交流しないほうが良いでしょう。

人との付き合い方は、人それぞれで違っていますし、年齢によっても変化してきます。自分に合った人との付き合い方を考えていけると良いと思います。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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