健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.61

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

呼吸器は専門外のかかりつけ医 肺がん検診は専門医を紹介すべきでは…

相 談夫(76歳)は、近所のかかりつけのクリニックで長年お世話になっています。高血圧で、定期的にかかりつけ医にかかって診察を受け、薬の処方をしてもらっています。

3~4年前、市から肺がん検診の案内が郵送されてきたので、それをかかりつけ医に持って行きました。かかりつけ医は呼吸器の専門ではないと聞いていたので、夫に「肺がん検診をかかりつけ医で受診して大丈夫なの?」と私は不安だったのですが、「検診だから問題ないだろう」と夫は気にしていない様子でした。

市の肺がん検診は胸部X線撮影なのですが、夫は「異常なし」と言われて帰ってきました。その後、毎年かかりつけ医で胸部X線撮影を受け、問題ないと言われてきました。

ところが昨年の暮れ、胸部X線で肺に腫瘍が見つかったと言われたのです。しかも、かかりつけ医に紹介されて受診したがんの専門病院では、ステージは3Cで手術の対象にならないと言われてしまいました。かかりつけ医には「心臓の陰に隠れていたので見つけられなかった」と言われたそうですが、毎年検診を受けていたのに納得できません。呼吸器の専門でないなら、肺がん検診は別の医療機関を紹介すべきではないのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

毎年検診を受けていたのに、見つかったときには進行がんだったでは納得できないのも当然です。ただ、腫瘍の位置によっては心臓の陰に隠れてしまうことがあるのも確かで、撮影が1方向なのか、複数方向からなのかによっても腫瘍の発見に違いがあるようです。

ただ、肺がん検診を胸部X線で実施している市民検診が多いのですが、専門家の話によると胸部X線撮影では初期の肺がんを見つけることは難しく、初期で見つけるならば、やはりCT撮影が必要だそうです。最近は被ばく量の少ないCTもあり、特に生殖年齢を超えている人にはCTによる肺がんの早期発見が推奨されるようです。

現状としてはこのことが広く認識されておらず、検診内容が改善されないことも問題ではないかと思っています。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

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