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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.114

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

親の運転が心配なとき

高齢ドライバーによる事故の報道を見るたび、親のことを思い浮かべ心配している人も多いでしょう。

現在、75歳以上の人が運転免許を更新するには、事前に認知機能検査を受ける必要があります。Kさん(男性40代)の離れて暮らす父親(79歳)もこの検査を受けました。Kさんが懸念していた通り、「記憶力・判断力が低下」という結果でした。免許を更新するには、医療機関を受診して診断書を書いてもらう必要があります。

「父は『だいじょうぶだ。問題ない』と口では言うのですが、内心不安なのか、一向に受診しなくて」とKさん。そこでKさんはコロナの感染者数が減ったタイミングで、父親の受診に付き添うために帰省。まず1人で診療所を訪れ、「父は僕の言うことは聞かないので、先生から返納を勧めてください」と頼みました。医師はKさんの願いを聞き入れたわけではないと思いますが、翌日、診察後、本人に対し「危険があるので、免許は返納しましょう」ときっぱり。父親はうなだれましたが、「先生がそう言うなら分かりました」と納得したそうです。

子どもの声に耳を貸さない親も、医師の言うことなら聞き入れる傾向があるので相談してみましょう。そして、親が決断したら、今後の「生活の足」についてよく話し合ってください。各自治体では、返納すると公共交通機関の補助などさまざまな特典を用意しています。また、免許返納後も自宅に車があると、長年の習慣から、「つい乗ってしまう」ことがあります。処分するところまでしっかりサポートしたいものです。

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