健康コラム

賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.139

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

生活重視の治療を受けたい

相 談私(78歳・男性)は、2カ月前から口の中が腫れ、なかなか腫れが引かないので近くの歯科医院を受診しました。すると、歯の問題ではないと言われ、詳しい精密検査が必要ということで、大学病院の口腔外科を紹介されたのです。大学病院で詳しい検査を受けたところ、歯肉がんであることがわかりました。

担当医からは「手術になります」と言われ、手術に向けての検査が進められています。説明によると、手術は上あごの半分を取り除くことになるそうなのです。術後は補助器具を使ったり、再建したりという方法もあるようですが、嚥下や呼吸に支障が出る可能性が高いと聞いています。そのため、かなり生活に支障をきたす結果になることがわかりました。

しかし、担当医はそんな私の気持ちには何の配慮の言葉もフォローもないばかりか、言葉の端々からは手術で取り除くことしか興味を持ってないようです。子どもたちにも手伝ってもらって、歯肉がんについて調べたのですが、一部の病院では抗がん剤と放射線の組み合わせの治療をおこなっていて、患者のQOL(生活の質)に配慮していることがわかりました。どうすれば生活重視の治療を受けられるのでしょうか。

コメント山口育子(COML)

そこの大学病院の口腔外科では歯肉がんに対して手術以外の方法はとっていないのでしょうか。まずは、可能性がある治療方法の選択肢と、その大学病院で可能な治療方法について確認をすることが大切だと思います。そのなかで、担当医がそのなかからなぜ手術を勧めたのかも理由を確かめてみましょう。

そのうえで、別の治療方法をとっている病院が調べてわかったのなら、そこに一度相談に行くという方法もあります。ただ、セカンドオピニオン外来に行くと、診察や検査、治療はしてもらえず意見だけを聴くことになりますので、今後の転院を視野に入れているとすれば、通常の受診の形態を選ばれるほうがいいと思います。

いずれにしても、まずは現在の担当医からファーストオピニオンをしっかり求めることがセカンドオピニオンにも生かされるだけに、確認することが優先事項だと思います。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

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