健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.19

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

手術を受けさせるべきか判断に迷う

相 談84歳の夫が自宅で転倒して激しい痛みを訴えたので、救急車で病院に搬送してもらいました。その結果、股関節が骨折しているとのことでした。

ところが、手術を受ける前の検査で、腹部大動脈瘤と膵臓がんも見つかったのです。そこで、まずはこうした病気全てに対応できる大きな病院に転院し、腹部大動脈瘤、次に股関節の順に手術を受けました。その後、回復期リハビリテーション病棟のある病院に移って、リハビリを受け、ようやく立ち上がれるようになったところです。

リハビリが一段落した後、手術を受けた病院に戻って膵臓がんの治療を受けることになっています。今は応急処置として、管を入れて膵液を通す処置をしてもらっています。医師からは「膵臓がんの状態はまだ初期なので、手術が可能です。7〜8時間を要する手術ですが、同じステージの患者さんのリスクは0.5%くらいで、ほとんどは成功している手術です」と言われました。

夫は認知症とまではいかなくとも、物忘れがひどくなっていて、重要な判断をするのは難しい状態です。2人の娘に責任を押し付けるわけにいかず、最終的に夫が手術を受けるかどうかを決断するのは私になりそうなのですが、判断に迷っています。

コメント山口育子(COML)

物忘れがひどくなっているとはいえ、患者であるご主人本人は意思をお持ちでしょうから、やはり、まずはご主人の気持ちを確認することが大事だと思います。

そのためにも、判断に必要な情報をしっかりと医師に確認しておくことが大切です。少ないとはいえ、どんなリスクが考えられるのか。また、リスクが0.5%といっても、84歳という年齢だとどうなのか。さらには、同じ84歳でも全身の状態や体力には個人差があります。ご主人の場合は、7〜8時間の手術に耐え、術後の回復は見込めるのかも気になるところだと思います。

また、膵臓の手術ということで、手術に伴う合併症はどのようなものが考えられるかも、あらかじめ確認しておく必要があります。

その上で、手術を受けるかどうか、ご主人と相談されてはいかがでしょうか。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

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