健康コラム
ほっとひと息、こころにビタミン vol.101

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。
【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕
あきらめない! 新しいチャレンジ
私は新しいことをするのが苦手で、つい臆病になってしまいます。若い頃には挑戦するのをあきらめて、後悔することがありました。このように、失敗が怖くて、やりたいことをあきらめてしまう人は少なくありません。それは、先の危険を予測して不安になるのが、私たち人間の防衛本能でもあるからです。
しかし、後になって振り返ってみると、それほど心配することではなかったことがわかって、臆病な自分が嫌になることもあります。このような気持ちになるのを避けるためには、初めての土地に行って温泉に入るときのことをイメージすると良いでしょう。
温泉がどの程度熱いか、最初はわかりません。だからといって、温泉に入るのをやめたりはしません。温泉に入る楽しみがあるからです。まずは、新しい行動が自分の役に立つかどうかを確認することが、第一歩です。
次に、温泉に楽しみがあるからといって、すぐに湯船に飛び込んだりはしないでしょう。手や足を少しずつお湯に入れて、温度を確認しながら入ります。このように、新しいことには少しずつ確認しながら取り組んでいくようにします。
また、お湯の温度が期待通りではないときもあります。その際には温度を調整します。実際に行動した後も同じで、思い通りにならないときには少しずつ改善していけば、自分が期待する結果に近づいていけます。先に温泉に入った人がいれば、その様子を聞くこともできます。
1人で頑張りすぎず、第一歩を踏みだせば、仮に上手くいかなくても改善のヒントが手に入ることを忘れないようにしてください。
大野 裕(ゆたか)
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。