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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.103

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

年越しもひとり?

新型コロナの猛威は夏場には落ち着くだろう、との大方の見方は裏切られ、今年は夏休みの帰省を断念した人が多かったようです。近頃は、「この状況は年末年始も?」という声が聞こえてくるようになりました。そんな声は、子世代からだけでなく親世代からも。

夫を亡くして以来、1人暮らしをするT子さん(80代)は、お盆の帰省を迷う長女に「帰ってこなくていい」と言いました。「帰省して、もしもこっちでコロナの発症者が出たら大変なことになるから」と。夏は終わりましたが、コロナのこの状況はいつ終わるか分からず、気持ちは落ち着きません。年末にもっとひどい状況になっていたら、「年越しもひとり?」という嫌な予感がすると言います。高齢の人にとっては、お盆はもちろん、お正月も家族と過ごす特別なイベントなのです。

「あと何年生きられるか分からないのに、このまま娘や息子に会えないのはさみしい」とT子さんはため息をもらします。40代、50代の子世代の余命と比べて、当然ながら親世代の余命は短く、コロナに邪魔される1年、2年の比重はより大きなものだといえるでしょう。とはいえ、「高齢者は重症化リスクが高い」と聞くと、家族間のコミュニケーションを控えざるをえず……。

あらゆる人びとの日常生活に、コロナが大きく影響を及ぼしています。心が穏やかになる解決策はなかなか見つかりませんが、電話や手紙、メール、オンラインを活用しながら、気持ちの交流を心掛けたいものです。

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