HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.17

ほっとひと息、こころにビタミン vol.17

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

長い休みの過ごし方

8月はお盆休みなど、長期休暇を取る人も多いと思います。いつもより長く休みを取ると、大人でも子どもでも生活のリズムが乱れがちになります。外に出ると暑いので涼しい家の中でついダラダラと過ごしたり、友だちや家族と楽しい時間を過ごして寝るのが遅くなったり、いつもよりゆっくり起きたりして、少しずつリズムが乱れていくのです。

そうしたことを防ぐためには、2つのことに気を付けると良いでしょう。それは、朝決まった時間に起きることと、日中に楽しいことややりがいのあることを増やすことです。

生活のリズムを整えるためには、朝決まった時間に起きることが何よりも大事です。規則正しく生活するために決まった時間に寝ようとする人がいますが、寝なくてはと考えると緊張して、かえって寝付けなくなります。翌日は休みだから寝るのが遅くなっても大丈夫だと考えて、眠くなってから床に就くようにします。その一方で、朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴びるようにするのです。日中に体を動かして、楽しいことややりがいのあることをするのも、生活のリズムを整えるためには大事です。体を動かさず何もしないでいると、次第に気分が沈み込んでくるという研究報告があります。

せっかくの休みなのですから、今までやりたくてもできなかったことを少しずつでもやるように心掛けると、気持ちに張りが出てきます。その際に体を動かすようなことをすると、もっと良いでしょう。体やこころが疲れているときに体を動かすと、気持ちが元気になることが分かっているからです。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

バックナンバー