健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.16

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

入院中に急死した経緯に疑問がある

相 談77歳の母が、10日前の朝に突然、吐血しました。驚いて救急車を呼び、病院に搬送して胃カメラ検査を受けたところ、胃潰瘍による出血と分かりました。医師からは「ヘモグロビンの数値が6g/dℓを切っていて、かなりひどい貧血状態なので、まずは輸血しましょう」と言われ、入院することになりました。

ところが、輸血が2パック目に入ったところで、母の容態が急変してしまったのです。すぐにICU(集中治療室)に移され、人工呼吸器を挿管し、血圧のコントロールをしようとしたそうですが、4時間後に亡くなりました。死亡時に渡されたメモには、輸血によるアレルギーで呼吸状態と血液循環が悪化したことと、ICUでの治療経過が記されていました。死亡診断書には、死因は多臓器不全で、それに至った原因は胃潰瘍と記載されています。

母の死亡で私たち家族も混乱していたのに加え、葬儀や火葬の手続きなどでバタバタしたため、医師から十分な説明を受けることができませんでした。それだけに、急変した原因が本当にアレルギーで、処置は正しかったのか、正式に調査してもらいたいのですが、方法が分かりません。

コメント山口育子(COML)

入院して輸血による治療を行う段階で、まさか死亡に至る状態だとは予期されていなかったのだと思います。先月号でも別の事例で取り上げましたが、2015年10月以降、医療に起因した予期せぬ死亡が生じた場合は、全ての医療機関において遺族にその旨を説明した上で、医療事故調査制度により医療事故調査・支援センターに報告することになっています。報告した後は、速やかに原則第三者を入れた院内調査を実施し、その結果は遺族と同センターに報告しなければなりません。同制度は、名称に「事故」という文字が入っているため、「何かミスがあったのか」と誤解されることが多いのですが、医療過誤の有無を問うものではありません。再発防止や、医療の質と安全の向上が目的です。

まずは病院に、この制度の報告の対象ではないのかどうかを確認されてはいかがでしょうか。もし病院が報告に難色を示した場合は、遺族がセンターに相談することも可能です。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉 ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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