健康コラム
ほっとひと息、こころにビタミン vol.100

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。
【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕
過去の失敗 未来の不安 1人で頑張らない
精神的に疲れてくると、私たちは、過去の失敗を思い出してくよくよ悩んだり、まだ起こっていない未来のことが心配になったりしやすくなります。
過去の失敗を悔やんでも、すでに起きてしまった事実を書き換えることはできません。失敗したのは自分が行動したからですが、まずは行動することができた自分を認めるようにしましょう。その上で失敗したという事実に目を向け、何が良くなかったのかを考え、どうなれば良いと思っているのかを考えるようにします。そうすれば、自分が期待する現実に近づくために、「今」自分に何ができるかを考えられるようになります。
一方、未来の良くない出来事を想像して悩んでも、それが本当に現実になるかはわかりません。わからないから悩んでいるのですが、それだけでは先に進めず、自分の力ではどうすることもできない状態に自分で追い込んでしまうことになります。こうしたときには、自分を責めるのではなく、自分の力を生かすことを考えるようにしてください。
未来のことを考えて不安になるときには、どのようになることを心配しているのかを考えてみるようにします。それがわかれば、その良くない出来事を避ける行動がとれるようになります。それと同時に、そのときにどうなりたいのかを考え工夫することができれば、不安を感じながらも先に進んでいくことができます。
そうはいっても、1人でこうした問題に立ち向かうのは難しい場合が少なくありません。そのようなときには、1人で頑張りすぎないで、周りにいる人に相談すると良いでしょう。
大野 裕(ゆたか)
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。