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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.79

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

親から謝金をもらう?

離れて暮らす親の介護の必要度合いが高まると、様子をのぞきに行く頻度が増えることがあります。

E美さんの自宅から実家までは片道2時間半の距離です。ひとり暮らしをする母親の様子を見るために、以前は月に1回、1泊で通っていました。しかし、1年ほど前から通院介助などのために、帰省の頻度が月に2〜3回に増えたとか。そのため、週に4日だったパートを3日に減らしたといいます。月3万円ほどの減収となりました。まだ大学生の長女の学費がかかるため、減収は痛手です。母親に相談したところ、交通費とは別に月に3万円を渡されるようになりました。「最初は、ラッキーと思いました。でも、お金をもらうと通うのが義務になり、体調が悪くても断れなくなり……」とE美さん。「ささいなことで母とケンカになったとき、母が『お金を渡しているでしょ』って言ったんですよ。その通りですが、釈然としなくて」。

考えた末、E美さんは、交通費のみ受け取り、「3万円」は辞退することにしたそうです。

正解のない難しい問題です。「渡して当然、もらって当然」と考える親子なら、お金を受け取ることに問題はないと思います。けれども、介護に縛られたり、感情のすれ違いが生じたりする原因になるなら、もらわない方が良いかもしれません。必要経費である交通費と「謝金」では意味合いが違います。

別の女性は、介護に非協力的な兄から、「行くたびに、親からお金をもらっているんだろ」と言われ、悶々とされていました。

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