健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.72

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

検査入院で予期せぬ兄の急死 死因の原因究明はできる?

相 談半年前、75歳の兄が心臓カテーテル検査のため、2泊3日の予定で入院しました。入院翌日の検査日、病院から連絡があり、兄が検査中に急変したというのです。驚いて病院に駆け付けると兄は心肺蘇生を受けていました。

医師から心臓カテーテル検査を行ったときの画像を見ながら説明を受けたのですが、検査中に血圧が急に低下し、間もなく心肺停止になったということでした。見せられた画像には、カテーテルが入っていく様子が映し出されているだけで、なぜ血圧が突然低下したのかという最も聞きたい情報の説明はありませんでした。

一度持ち直したものの、腎機能が悪化しているので「今日明日が山場です」と言われました。そして「今度危なくなったら蘇生はしなくていいですか?」と聞かれたのです。蘇生はしなくていいと伝えましたが、あんなに元気で入院した兄がなぜこんなことになるのか、受け入れる気持ちにはなれませんでした。結局、翌日死亡したのですが、医師から「死因は心筋梗塞と考えています」と説明を受けました。そして「解剖は希望されますか?」と聞かれたのですが、そのときは兄が不憫(ふびん)で断りました。でも今になればもっときちんと調べてもらえばよかったと後悔しています。いまからできることはあるのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

患者さんと一緒に検査前の説明を受けた相談者によると、検査のリスクについて説明はあったものの、突然死亡する可能性はまったく聞いていなかったそうです。

医療を受けていて、予期せぬ死亡が起きた際には医療事故調査制度(以下、制度)の対象になります。その場合、医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告することが医療法で義務付けられています。そして、報告後は、原則第三者委員を入れた院内調査を経て、死亡の原因究明が行われます。また、院内調査で納得できない場合は、遺族がセンターに第三者調査の依頼もできます。そのため、まずは病院に制度の対象として報告する予定があるか確認してみましょう。もしない場合は、センターに相談して病院に報告を促してもらうことも可能です。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉 ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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