健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.80

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

弟が治療方針を独断で決定 父の意見も聞くべきでは?

相 談90歳の父はこれまで心筋梗塞や肺気腫などを患ってきました。心筋梗塞のときは、狭くなった冠動脈にステント(狭くなった血管を内側から広げるための金属でできた網目状の筒のような器具)を入れたこともありました。

その父が同居の母から感染して、3日前に新型コロナウイルス陽性になりました。高齢ということもあり、入院して治療を受けることになったそうです。両親は九州の地方都市で弟家族と同居していて、私は東京在住です。父の面倒を見ている弟からこれまでのいきさつについて連絡を受けています。

昨日の連絡のとき、弟が「先生から『症状は重くないけれど、発熱しているので点滴で治療しています。食事は取れているので安心してください。ただ、ご高齢だし基礎疾患をお持ちなので、もし人工呼吸器が必要な状態になればどうしますか?』と聞かれたけれど、判断に困っていたら、先生に『負担が重いので私の親なら付けません』と言われたから、付けない選択をした」と言います。

父は90歳ですが、モバイルで碁を打つぐらい頭はしっかりしています。父の意見を聞かずに勝手に決めていいものかと疑問を抱いているのですが、いったん返事をしたら何も言えないものなのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

高齢だとひとくくりにして「判断できない」と決めてしまいがちですが、個人差は大きいのが現実です。それだけに、父親の意思を尊重したいという思いを弟さんに伝え、まずはよく話し合ってみてはどうでしょうか。そして、弟さんも同意すれば、医師に「先日は必要になっても人工呼吸器は装着しないとお返事しましたが、父はモバイルで碁を打っているぐらいしっかりしているので、父本人の意見を尊重したいと思います。人工呼吸器が必要になるときはどのようなときで、人工呼吸器装着のメリットやデメリットを父に説明して、父の意見を求めてもらえませんか」と頼むことは可能です。やはり患者本人が「どうしたいのか」の意思確認はとても重要ですので、医療者や家族の考えで突っ走ることがないよう、原点に立ち返る意識が大切です。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉 ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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