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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.111

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

親が『出金』できなくなったとき

親の判断力が低下すると、金銭管理をどうするかが課題となることがあります。

Sさん(女性40代)の母親(70代)は実家で1人暮らし。認知症の初期と診断されて半年が経過しました。このところお金の管理がおぼつかなくなっています。先日もキャッシュカードの暗証番号を複数回間違えたらしく、カードが使えなくなりました。Sさんが金融機関の窓口に付き添って手続きし、再使用できるようになりましたが、今後のことが不安だといいます。「ヘルパーさんに出金をお願いしたいと思ったのですが、ケアマネジャーに相談したら『できない』と言われました」とSさんは肩を落とします。

残念ながら、訪問介護ではできることと、できないことがあり、お金の管理は対象外なのです。そのため、親の金銭管理が難しくなると、子が帰省した際に生活費を出金し親に手渡す人が多いようです。ところが、コロナ禍で移動が難しくなり、困っている人が少なくありません。

このような時の対応に、国の「日常生活自立支援事業」があります。通帳を預かってくれ、預貯金の払い戻しや金銭管理を援助。窓口は社会福祉協議会で、訪問1回当たりの利用料は1200円程度です。本人が社会福祉協議会と契約する必要があるので、判断力が大幅に低下していると使えないため、成年後見制度の利用を勧められることもあります。

ただ、自分自身でお金の管理を行うことが〝生きている実感〟につながっている親もいるでしょう。本人を含む家族間、ケアマネジャーや医師らとも話し合ってより良い方法を考えたいものです。

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