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ほっとひと息、こころにビタミン vol.28

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

こころの揺れを受け入れる

今年の春に急速に拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの生活を直撃し、多くの人たちがストレスを感じました。こうした思いがけない出来事が起きたときに気持ちが動揺するのは自然なことです。気持ちの変化はこころのアラーム(警報器)であり、不安になるから将来に備えることができ、落ち込むから少しペースを落として問題に取り組むことができます。イライラしやすくなるのも、問題に取り組むエネルギーが高まっているからでもあります。

ですから、こころの揺れに気付いたときには、無理に抑えつけようとせず、そのままの気持ちを受け入れるようにしてください。マインドフルネスと表現されることがありますが、そのときの自分をありのままに受け入れるようにして、こころのメッセージに耳を傾けてください。その上で、自分がこれからどうしたいのか、それを妨げているのは何なのか、それを解決するにはどうすれば良いのかを、冷静に考えてみてください。

そのときに、自分に対する思いやりを忘れないようにすることも大事です。私たちは、問題があるとつい自分を責めがちになりますが、自分を責めても意味はありません。問題があるのは事実なのですから、その現実を受け入れた上で、自分にとって意味のある将来を手に入れる工夫を考えるようにします。

こうした考え方を紹介した私の講演をユーチューブ(https://youtu.be/tURKZ8Or_rA)にアップし、その考え方を使ってスマートフォン上で心を整えるチャットボット「こころコンディショナー」の試作版(https://carechat-demo.kiku-hana.jp/)も当面無償で公開していますので参考にしてください。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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