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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.132

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

きょうだいが親と同居し疲弊

離れて暮らす親に介護が必要になると、同居を考えるケースは少なくありません。子が複数いる場合は、親との関係性や現在の家族構成、住宅事情などを鑑みて、誰の家に呼ぶかを決定することが多いようです。しかし、同居すると、その生活は激変。介護の必要な親と一つ屋根の下に暮らすと、望むと望まざるとにかかわらず、「主たる介護者」となります。

Tさん(女性50代)の母親(80代後半)は実家で1人暮らしをしていました。認知症が進み、Tさんは2人姉妹の妹と今後のことを相談。妹はシングルなのに対し、Tさんは夫と大学生の子がいます。妹は「私は1人だし、私のところに呼ぶわ」と言ってくれました。妹は少し広いマンションに転居し、母親との同居を開始しました。しかし、これまで自分自身のペースで生活していた妹にとって、母親との2人暮らしとその介護は過酷なものとなりました。仕事との両立も厳しく、とうとう鬱(うつ)状態に……。現在、精神科に通って薬を服用し、休職することを検討しているそうです。

「妹に申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、うちに母を連れてくることは難しい」とTさんは頭を抱えていました。

別居の親との同居を決める際には、慎重になりましょう。サービスを利用しながら、できるところまで1人暮らしを継続してもらうのも方法です。今、Tさんにできることは、妹さんの心身の健康を取り戻すことです。母親の施設入居も検討を。すぐに難しい場合は担当のケアマネジャーと相談し、ショートステイを利用するなどし、妹さんの健康状態が悪化することを食い止めたいものです。

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