健保ニュース
健保ニュース 2026年10月下旬号
東京連合会主催の共同事業
会員組合理事長への情勢報告会開催
山口会長 予防の取り組みを重視
健保連東京連合会は13日、関東甲地区の共同事業として、「理事長への健康保険をめぐる情勢報告会」を開催した。冒頭にあいさつした山口和寿会長(安田日本興亜健保組合理事長)は、「健保組合では、病気を発症させない、重症化させない役割がますます大きくなっている」と述べ、生活習慣病やメンタルヘルス、女性の健康、がんの早期発見などの課題に、「事業主、医療機関と健保組合が三位一体となって取り組むことが重要だ」と主張した。続いて健保連の米川孝副会長が、健保組合の役割とその重要性をテーマに講演。健保組合の現状を解説した上で、後期高齢者の現役並み所得者の給付費への公費投入をはじめとする高齢者医療制度改革の実現を要望していると説明した。
会員組合の理事長を対象にした情勢報告会は、昨年に続き2度目の開催。東京、栃木、埼玉、千葉、神奈川から124組合、223人が参加した。参加者は前年から70人増加した。
山口会長は、今後の人口構造の変化について、現役世代が減少する一方で後期高齢者の割合が高まり、2070年には4人に1人を占めるとの推計を紹介した。25年には団塊の世代が全て後期高齢者になったが、「25年は高齢化問題のゴールではなく、むしろ新たな局面の入り口だと捉える必要がある」と指摘した。
その上で、健保組合にとっては、高齢者医療への拠出金が大きな負担となっており、「現役世代が減少する中、医療保険制度をいかに持続可能にし、現役世代の保険料負担とのバランスを確保するかが今後、ますます大きな課題になる」と見通した。
先の特別国会では、持続可能な制度の実現に向けた負担の公平性の確保などを趣旨とする改正健康保険法が成立したが、こうした情勢においては、疾病予防や重症化予防がますます重要になると指摘。事業主や医療機関と一体となって取り組む必要があると呼びかけた。
健保連・米川副会長
高齢者医療制度改革を主張
健保連の米川副会長は、健保組合・健保連の要望事項として、高齢者医療制度改革の実現や医療費の伸びを抑制するための医療DXの推進、「攻めの予防医療」に貢献する健保組合の保健事業への支援などを説明した。
中でも、高齢者医療制度について、後期高齢者の現役並み所得者の給付費への公費投入を強調。公費負担がないために、現役並み所得者が増えると現役世代の拠出金負担が増える「いびつな構造」になっているとして、早期の見直しを訴えた。
また、こうした問題が行政や政治に取り上げられているとして、参加者にも関心を持つよう呼びかけた。
健保組合の現状については、令和7年度決算見込みの概要から、▽経常収支が2417億円の黒字だが、約4割の組合が赤字▽収入総額9兆7004億円の約半分の4兆9556億円が加入者への給付に使われた▽収入の約4割の3兆8859億円が高齢者医療への支援として拠出された▽加入者の健康増進のための保健事業費は3990億円にとどまる──といった財政状況を説明した。
また、健保組合の特徴として、市町村国保や協会けんぽ、後期高齢者医療制度に比べ公費負担が少なく、「自主自立で運営しており、自分たちでサービス内容を決められる」と述べた。
このほか、保険者間の財政調整の仕組みや医療費の窓口負担割合について解説した。