健保ニュース
健保ニュース 2026年10月中旬号
費用対効果評価見直し
中医協部会 価格調整に向けた検討確認
厚生労働省は9月30日の中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会(会長・飯塚敏晃東京大大学院教授)に、既存の医薬品などと比較して健康アウトカム指標の改善が見られず、単に費用増となる(治療にかかる費用対効果を示す指標「ICER」の区分が「費用増加」)医薬品や医療機器について、年内に価格調整を行う方向で検討を進めることを提案した。構成員から異論はなかった。具体的な方法については、次回以降の部会で検討する。
費用対効果評価制度を巡っては、昨年の骨太の方針で、現役世代の保険料負担などに配慮する観点から、▽客観的な検証を踏まえつつ、さらなる活用に向け、適切な評価手法、対象範囲や実施体制を検討する▽併せて薬価制度上の活用や診療上の活用などの方策を検討する──と明記されていた。
同部会が昨年末に取りまとめた「令和8年度費用対効果評価制度改革の骨子」では、ICERの区分が「費用増加」となった分析対象集団に係る価格調整範囲の見直しについて、今年9月に検証報告を行い、議論した上で具体的な方法を定め、価格調整を実施するとした。
「医薬品等の費用対効果評価制度における検証のための会議」が8月に取りまとめた技術的な検証の結果では、費用対効果評価制度は、「各論点について企業分析と公的分析の内容を踏まえ、より確からしい分析方法の選択によって行われており、『一定の妥当性はある』」とした。
検証結果は9月9日の同部会に報告され、16日には製造販売業界団体からヒアリングを行った。業界側は「健康アウトカム指標での改善の評価には課題があり、その対応を経ずに価格調整範囲の拡大を論じることはできない」とし、当面の間、価格調整を凍結すべきだとの考えを示していた。
健保連の佐竹陽一理事は厚労省の提案に賛同し、年内の価格調整実施について、「着実に検討を進めるべきだ」と主張した。
また、健康アウトカムの判断のためのデータがない場合は、「改善が示されていないと判断するのが合理的だ」と述べた。
データがない場合の判断については、技術的な検証の取りまとめでも「データを示す責任は基本的にメーカーにある」「データが不十分または存在しないことに伴う不確実性を国民や保険者が一方的に負担することは適切ではない」としていた。
一方、製造販売業界の専門委員からは、「価格調整範囲の拡大は薬価制度の整合性に関わる重要な論点だ」といった慎重な意見や、「『データが足りずに評価しきれなかった場合』と『データがある中で改善を示せなかった場合』とを区別して扱うべき」との要望があった。
9年度薬価改定へ
見直しの進め方を了承
厚労省はまた、9月30日の費用対効果評価専門部会に、9年度薬価改定に向けた費用対効果評価制度の見直しに係る議論の進め方を提案し、了承された。10月以降、同部会で検討する。
技術的な検証の結果において、費用対効果評価制度には「一定の妥当性」はあるとされたが、議論の透明性やプロセスについては改善の余地があるとされていた。
こうした経緯を踏まえ、厚労省は①議論の透明性やプロセスの改善②新規の重要な知見が得られた際の対応③対象品目や価格調整の範囲の拡大④診療ガイドラインへの反映を含めた医療現場での普及──などの論点を部会に示した。
健保連の佐竹理事は、議論の進め方に異論はないとした上で、「保険財政の持続可能性を確保するため、費用対効果評価制度の積極的な活用に期待する」と述べた。
特に対象品目については「既存の医薬品や医療機器を含めて、より多くの品目を対象にすべき」と強調した。また価格調整の範囲については、「究極的には費用対効果が同等になる水準まで価格調整をすることも重要だ」と指摘した。
一方で、急激な価格変更が難しいことにも理解を示し、「医療現場で費用対効果を考慮した治療の選択を推進するため、診療ガイドラインに費用対効果評価の結果を反映することも着実に進めるべきだ」と主張した。