健保ニュース
健保ニュース 2026年10月中旬号
出産検討会が初会合
給付体系見直しへ 年内に論点取りまとめ
米川副会長 標準化と「見える化」重視
厚生労働省は1日、「妊娠・出産・産後における診療やケアの内容等に関する検討会」の初会合を開いた。出産に関する新たな給付体系における提供体制や、実施内容に応じた評価の設計に向けた大まかな論点案を提示し、了承された。年内の取りまとめを目指す。
6月に公布された改正健康保険法には、出産に関する給付体系の見直しが盛り込まれており、同法の施行(公布後2年以内)に向け、中央社会保険医療協議会などで、出産に関する診療・ケアの体制や内容の評価方法を検討することになっている。
同検討会は、こうした検討の前さばきとして、妊娠・出産・産後における診療・ケアの現状分析を踏まえた論点整理を目的に設置された。検討事項は①出産に関する診療・ケアの体制や内容②施設基準の検討に必要な着眼点③①②に関連する妊娠から産後にわたる支援体制④その他──。
座長には岩村正彦氏(東大名誉教授)、副座長には山縣然太朗氏(国立成育医療研究センター・成育こどもシンクタンク副所長)が就いた。健保連の米川孝副会長が構成員として参画する。
厚労省が示した大まかな論点案は▽分娩施設での妊産婦や新生児への診療・ケアの内容や体制▽妊産婦の個別のニーズに応じた診療・ケアの内容や体制▽妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を推進するための、分娩施設で必要な支援の内容と体制、地域や関係機関との連携状況▽地域で安心安全に出産できる周産期医療体制の確保──の4つで、構成員から異論はなかった。
米川副会長は意見交換で、「保険者の立場として、新たな給付方式を導入する際に、最も重視することは標準化と『見える化』だ」と述べ、全国共通のルールで基本単価や加算を設定する場合は、「当然、各施設の体制や医療の質が一定水準を満たし、 それを妊産婦や保険者にも明示してもらう必要がある」と強調した。
また、「新たな給付体系と診療報酬の役割分担を明確にし、実施されている診療・ケアの内容が検証できる仕組みにすることも不可欠だ」と指摘した。
今後の具体的な議論に向けては、「標準化や見える化を図るために、どのような制度設計が必要なのかという観点も意識して、資料を準備していただきたい」と事務局に要望した。
分娩基本単価の水準
医療保険部会で議論
この日の検討会は、日本産婦人科医会、日本看護協会、日本助産師会の代表構成員からのヒアリングも行った。
米川副会長は、産婦人科医会から、国が新たに設定する分娩1件あたり基本単価について、具体的な水準に関する提案があったことを踏まえ、「この検討会では具体的な給付水準の議論はしないと思っているが、この認識で間違いないか」と事務局にただした。
これに対し、保険局の荻原和宏保険課長は「給付水準については医療保険部会などで検討し、最終的な分娩費用については中医協で審議して、諮問、答申という流れを想定している」と答えた。
米川副会長はまた、産婦人科医会から医療機関の集約化に懸念が示されたことを受け、「アクセスへの配慮は必要だが、分娩数が減少する中、現状を維持するには限界があり、機能分化や連携と集約化で、医療提供体制を効率化することも重要だ」と主張し、これらのバランスのあり方について、産婦人科医会の見解を尋ねた。
同会会長の石渡勇構成員は、「現在頑張って(分娩を)やっているところには手当てをして、継続できるよう配慮してほしい。保険財源だけでなく、色々な財源を含め、地域で安心してお産ができる体制を作っていく必要がある」と応じた。
この日はほかにも、厚労省が全国の分娩施設と一般分娩経験者を対象に実施した、分娩施設における医療・サービスの実態調査の結果について、同省は順次検討会に報告すると説明した。