健保ニュース
健保ニュース 2026年10月上旬号
「保険料削減ビジネス」対策強化
法人役員の資格、就労実態を勘案
厚生労働省は9月14日、「法人の役員である個人事業主等に係る被保険者資格の取り扱いについて」の一部改正を健保組合などに通知した。法人役員の被保険者資格について、「社会保険料削減ビジネス」を行う事業者に払う会費と法人役員として受ける報酬との関係だけでなく、「就労実態を総合的に勘案し、個別具体的に丁寧に判断すること」を追記した。
社会保険料の削減をうたい、会費を徴収して法人役員として社会保険に加入させる社会保険料削減ビジネスを行う事業者の存在が問題になり、厚労省は3月に同名の通知を発出していた。
これを受け、日本年金機構が疑いのある事業所45社に調査を実施したところ、8月末時点で38社の1万1610人に業務の実態がないことが判明し、機構の指導により被保険者資格を喪失させた。残る7社の調査は続いているため、さらに増える可能性がある。また、新たな事案が確認されたことも踏まえ、通知の改正に至った。
3月の通知では、事業所に払う会費が役員として受ける報酬より高い場合や、業務実態が単なる自己研さんに過ぎない場合などには、被保険者資格を認めないと整理していた。
改正通知では、会費が報酬と同額か下回る場合でも、会費の額が報酬の多くを占め、同じく会費を払う他の法人の役員などとの相互互助的な連携に過ぎない活動内容の場合は、「事業所との間に常用的な使用関係があると認められない可能性がある」とした。被保険者資格の判断にあたっては、会費と報酬に加え、労働時間や業務内容などの就労実態を総合的に勘案するよう求めた。
「会費」については、勉強費、広告費、参加料、コンサルタント料、協力金、委託費などといった名称にとらわれずに判断する。
また、厚労省は同日、「勤務時間が短い正規型の労働者として事業所に使用されている個人事業主等に係る被保険者資格の取り扱いについて」も通知した。
社会保険料削減ビジネスを行う事業所が、勤務時間が極端に短い正規労働者として個人事業主などを雇用。被保険者資格を取得し、報酬を上回る会費を徴収している場合の取り扱いも明確化した。
報酬が業務の対価としての経常的な支払いと認められない場合、かつ業務が経常的な労務の提供と認められない場合は、「その実態に照らして事業所と常用的使用関係にあるとは言い難いため、原則として被保険者資格を有さない」と明記した。
具体的には、法人役員の場合と同じく、労働者として受け取る報酬を上回る額の会費を払っている場合を挙げた。会費が報酬より低くても就労実態を総合的に勘案して判断する。
加えて、個人事業主が自らの業務を別の事業所に委託し、個人事業主が委託先の事業所に雇用される形態で自らその業務を行い、実質的に自ら払った委託費を報酬として受け取る場合も、「業務の対価としての経常的な支払いがあるとは言えない」とした。