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健保ニュース 2026年9月下旬号

7年度 概算医療費
5年連続過去最高の49.2兆円
高度化の影響大きく

厚生労働省は8月28日、「令和7年度医療費の動向」を公表した。7年度の概算医療費は前年度比1.3兆円増の49.2兆円となり、5年連続で過去最高を更新した。伸び率は前年度から1.1ポイント増の2.6%増となった。増加要因について厚労省は「受診延日数(患者数に相当)が0.7%減少した一方、1日あたり医療費が3.3%増加したため」としている。

概算医療費から人口増(前年度比0.5%減)、高齢化(同0.6%増)、診療報酬改定(同0.4%減)などの影響を除いた医療の高度化と受療行動の変化などによる伸び率は2.9%増となった。近年は人口増と高齢化の影響が小さくなる一方、医療の高度化による伸びが大きくなりつつある。

7年度の休日数の前年度差異に対する補正率は0.2%減としている。

医療保険と公費負担医療の医療費を集計した概算医療費は、労働災害や全額自費の診療を含まない速報値で、国民医療費の約98%に相当する。

概算医療費の推移をみると、令和元年度43.6兆円(前年度比2.4%増)、2年度42.2兆円(同3.1%減)、3年度44.2兆円(同4.6%増)、4年度46兆円(同4.0%増)、5年度47.3兆円(同2.9%増)、6年度48兆円(同1.5%増)、7年度49.2兆円(同2.6%増)となっている。

医療費の伸び率は、コロナ禍前の平成28年度~令和元年度が1.8%増、コロナ禍を含めた元年度~7年度が2.1%増で、厚労省は「コロナ禍前の水準に戻った」と分析している。

単価に相当する「1日あたり医療費」は3.3%増の1万9900円だった。

1日あたり医療費の伸びを診療種類別にみると、医科入院(同2.8%増)、医科入院外(同3.2%増)、歯科(同3.2%増)、調剤(同5.0%増)の全てで前年度より増えている。特に調剤の増加が目立つ。

医療機関を受診した患者数に相当する「受診延日数」は0.7%減の24.7億日、伸び率は1.0ポイント減少した。

診療種類別にみると、歯科を除き減少した。特に入院外が1.6%、調剤(処方箋枚数)が1.1%と大きく減少している。

厚労省は受診延日数が減少した理由について「7年度はインフルエンザが流行したが、6年度はマイコプラズマ肺炎がそれ以上に流行していたため」だと説明した。医科診療所の小児科では受診延日数(5.9%減)と医療費(2.2%減)の伸び率が減少しているほか、耳鼻咽喉科も受診延日数(6.7%減)と医療費(2.7%減)が減少している。

後期高齢者医療費
初めて20兆円超える

75歳以上の後期高齢者の医療費は3.9%増の20.3兆円(全体の41.3%)となり、初めて20兆円を超えた。

75歳未満は1.7%増の26.5兆円で、このうち被用者保険が3.5%増の16.4兆円(同33.4%)、国民健康保険が1.2%減の10.1兆円(同20.5%)だった。

公費負担医療は2.5%増の2.4兆円(同4.9%)。

1人あたり医療費は3.1%増の40万円。被用者保険は3.6%増の21.2万円で、このうち本人が4.0%増の20.2万円、家族が3.3%増の20.7万円だった。

75歳以上の1人あたり医療費は1.6%増の98.9万円。

国保は1人あたり医療費が2.5%増の41.5万円で、被用者保険の約2倍となっている。

被用者保険と国保を合わせた未就学者は、医療費が5.3%減の1.3兆円、1人あたり医療費が0.8%減の24.8万円で、いずれも減少した。

診療種類別
調剤・歯科が顕著な伸び

診療種類別に概算医療費をみると、医科は2.0%増の36.1兆円で、内訳は入院が2.3%増の19.6兆円、入院外が1.6%増の16.5兆円。歯科は3.5%増の3.5兆円、調剤は3.9%増の8.8兆円、訪問看護療養は14.1%増の0.8兆円で全て増加した。特に歯科と調剤の伸び率が大きい。

厚労省は歯科の伸び率について、「受診延日数(0.4%増)の伸びは小さいが、1日あたり医療費(3.5%増)の伸びが大きい。治療に使用する貴金属価格の伸び率が10.1%と大きく増加したことなども影響した」と説明した。

調剤は処方箋枚数が1.1%減の8億8669万枚とコロナ禍以降初めて減少したが、処方箋1枚あたり医療費の伸びが5.0%増の9839円と大きかった。7年度はコロナ禍前と比較しても高い水準になっている。

厚労省は「比較的安価な呼吸器系の疾患に伴う処方箋の枚数が減少した一方、高価な新生物(腫瘍)の薬剤が増加したことによる影響が大きい」と見ている。

医療費の構成割合は、医科73.4%(入院39.8%、入院外33.5%)、歯科7.2%、調剤17.8%、訪問看護療養1.7%で医科入院が最も多くを占めた。

また、医科入院の受診延日数は0.5%減の4.4億日、1日あたり医療費は2.8%増の4万4700円。入院外は受診延日数が1.6%減の15.6億日、1日あたり医療費は3.2%増の1万600円となっている。

病院の1施設あたり医療費は3.2%増の33億1092万円で、内訳は大学が5.6%増の243億879万円、公的が2.7%増の65億3637万円、法人が1.9%増の20億4541万円、個人が7.4%増の8億3717万円でいずれも増加した。診療所は0.6%増の1億1150万円だった。

医科診療所の1施設あたり医療費を診療科別にみると、小児科が2.7%、外科が0.3%それぞれ減少した。一方、産婦人科が3.8%、整形外科が3.5%、皮膚科が1.6%、眼科が1.3%、内科が0.2%それぞれ増えた。

歯科は受診延日数が0.4%増の4億日、1日あたり医療費が3.2%増の8700円。1施設あたり医療費は歯科病院が4.5%増の1億1655万円、歯科診療が5.0%増の5207万円だった。

後発品の使用割合
数量ベースで9割を維持

7年度末時点の後発医薬品の使用割合は数量ベースで1.0%増の91.7%、薬剤料ベースで1.8%減の75.9%となり、後発医薬品の調剤率は1.4%減の82.4%だった。

厚労省は薬剤料ベースの割合が下がった要因について「新規後発医薬品の収載に伴い集計対象が拡大したことによる一時的な低下」とした。

後発医薬品使用割合(数量ベース)を制度別にみると、被用者保険は1.1%増の92.3%。内訳は、健保組合が1.2%増の92.3%、協会けんぽが1.0%増の92.2%、共済組合が1.2%増の92.3%だった。国保は0.9%増の91.3%、後期高齢者は1.1%増の90.9%となっている。

医療機関の種類別にみると、医科病院で0.8%増の91.2%、医科診療所で1.2%増の91.9%だった。

また、使用割合が80%以上の薬局の割合は2.1ポイント増の96.7%だった。

7年度の調剤医療費は3.8%増の8兆7242億円。構成割合は、技術料が2.1%増の2兆3730億円(全体の27.2%)、薬剤料が4.5%増の6兆3343億円(同72.6%)、特定保険医療材料が3.0%増の170億円となっている。

薬剤料11兆円
集計結果を初めて公表

厚労省は、新たに「最近の薬剤医療費(電算処理分)の動向」を公表した。7年度の薬剤料総額は10.9兆円で、前年度から4.7%増加した。同省は「薬剤料が医療費全体に与える影響が大きくなっていることを踏まえて公表した」と説明した。

薬剤費の動向は調剤に加え、医科、歯科レセプトに計上された薬剤料を集計している。病院や診療所などの医療機関で使用された薬剤を含めた薬剤料全体の動向を分析、把握することを目的としている。

なお、保険外併用療養費の自己負担額とDPC制度などで入院費に包括して算定される薬剤料は集計対象に含まれない。

7年度の薬剤医療費は10兆9615億円だった。大きく影響している薬剤は「腫瘍用薬」で、前年度から約2000億円増加している。

厚労省は腫瘍用薬について「近年一貫して薬剤料の伸びに大きく影響している」と分析している。

また、年齢階級別にみると、1人あたりの薬剤料は80歳~84歳が一番高く、「腫瘍用薬(4.3万円)」と「その他の代謝性医薬品(3.3万円)」の規模が大きい。

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