健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.173

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
認知症になったら「お金の管理」は?
もし、親が認知症になったら、本人のお金の管理は誰が行うのでしょう。親と意思疎通がとれる状態なら、委任状を書いてもらって子が親の口座から出金できますが、委任状を書けなくなったら?
Sさん(男性50代)の両親(どちらも80代)は遠方の実家で2人暮らしです。最近、父親は物忘れが進んだのか、「携帯電話をなくした」「通帳がみつからない」などと電話をかけてくることが増えました。母親に電話を代わってもらっても、要領を得ません。「もし2人とも認知症になったら、医療費や介護費はどこから払えばいいんだろう」とSさん。Sさんが実家を出たのは、大学に進学したとき。もう数十年も昔のことです。帰省をしてもお金の話などはしないので、どの金融機関にどのくらいのお金があるのか、年金がどこに振り込まれているのかも「知らない」状態だと言います。
Sさんが不安視している通り、判断能力が低下すると、親のお金を子が管理するのは簡単ではありません。金融機関での本人確認が厳しくなっているためです。少しずつでも、親の大切な情報を聞いておきましょう。
まず、「もしものときに、どのお金を使えばいいか」の確認を。引き出し方は? 複数口座があり、本人も整理ができていないケースもあるので、通帳を見せてもらえると安心です。また、あらかじめ届けることで“代理人”の指定ができる金融機関も増えているので、取引のある窓口に問い合わせてみるのもいいでしょう。
口座関連の手続きを行えるのは、原則名義人のみです。いざというときに慌てないよう、家族間でよく話し合って、できる範囲で準備をしておきましょう。