健保ニュース
健保ニュース 2026年9月下旬号
自民議連が意見聴取
健保連秋山理事 肥満症対策の課題指摘
特定保健指導の活用を主張
自民党の肥満症対策推進議員連盟(会長・齋藤健元経済産業相)は8日、国会内で会合を開き、肥満症対策への取り組みについて健保連と日本医療政策機構から意見を聴取した。健保連の秋山実理事は、肥満症の可能性がある人を抽出する国の基準がないことなど、三つの課題を指摘した。
秋山理事は、特定保健指導における受診勧奨は医療につながっており、また法定の事業で健保組合に定着していると強調。「広く取り組むには、このスキームを活用することがベストだ」と訴え、現行の特定保健指導の活用を取り組みの前提にするよう主張した。
課題の一つ目は、特定健診・保健指導では肥満症の可能性の有無を判断できないことを挙げ、「国が簡易的な抽出基準を示し、特定保健指導のスキームの中で抽出できるようにすれば、一定の取り組みが可能になる」と述べた。
二つ目は、健保組合などの保険者が肥満症の重症化予防事業を実施するには、平成28年に日本医師会、日本糖尿病対策推進会議、厚生労働省の3者が締結した連携協定に基づく「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」と同様に、厚労省と医療学会などによるプログラムの策定が必要になることを指摘した。
三つ目は、「肥満症に適切に対応できる医療機関がわからない」と問題視し、肥満症と診断された人がただ「減量しましょう」などと言われないようにするべきだとした。
あわせて、「全体を取りまとめてPDCAサイクルを回す機能が必要だ」とし、健診・レセプトデータの管理と対象者の抽出、適切な医療機関への橋渡しを担える「代行機関」の存在が求められるとした。
秋山理事はまた、14の健保組合のコンソーシアム(共同事業体)による新規人工透析者減少への取り組みを紹介した。
透析予防には健診に含まれない検査の実施や、レセプトを用いた抽出などの作業が必要なため、「健保組合が単独で取り組むのはハードルが高い」とし、肥満症の重症化予防においても、事業の共同化によるスケールメリットを生かす必要性に言及した。
議連の事務局長を務める、とかしきなおみ元厚労副大臣は秋山理事の説明を受け、「糖尿病性腎症重症化予防と同じように抽出基準と予防プログラムを作り、医療へのアクセスを担保できるようにしていく。健保組合には、国の新たな政策の羅針盤の役割を担ってもらいたい」と語った。
日本医療政策機構は、健診で肥満症が疑われる人のスクリーニングが十分にできておらず、介入する対象者の優先順位づけも不十分だと健保連と同様の問題意識を示し、特定健診や糖尿病性腎症重症化予防事業など、既存の取り組みに追加する形で「BMI35以上+高血圧・高血糖・脂質異常の該当者は、かかりつけ医または地域の診療所への受診勧奨を行う」ことを提案した。
また、肥満・肥満症の実態を正確に把握し、受診勧奨基準値の統一に向けたデータ創出を主張した。
このほか、「子どもの肥満は成人期の肥満に移行しやすい」「肥満治療には多職種でのチーム医療が重要」だとし、診療報酬に「小児肥満指導管理料」と「肥満症治療チーム加算」を新設し、いずれも看護師や管理栄養士、メディカルソーシャルワーカーといった多職種で連携を行った場合に加算することなどを提唱した。