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健保ニュース 2026年9月中旬号

厚労省が医療DXの方針案
推進の意義に「制度の持続性確保」
米川副会長「非常に重要」と評価

厚生労働省は8月27日の医療保険部会に、今後の医療DXの方向性を示す「医療情報化推進方針」の案を提示した。健保連の米川副会長は、方針案が医療DX推進の意義の一つに「制度の持続可能性の確保と国民負担の軽減」を挙げたことを「非常に重要だ」と評価した上で、「今後は、電子カルテ情報共有サービスの全国展開が最大の課題だ」と指摘した。

同方針は昨年10月に成立した改正医療法に基づくもので、厚労相が医療DX推進の意義や基本的な方向性、国やDX審査支払機構(支払基金が10月に改組)などが取り組むべき事項を定める。第1期の対象期間は今年10月から2030年3月まで。厚労省は9月中に告示を出す。

医療DXの中核を担うDX審査支払機構は、同方針に沿って「中期計画」と「年度計画」を策定する。中期計画の期間中は▽医療DXサービス利用のための基盤整備▽全国医療等情報プラットフォーム▽医療情報の二次利用──に重点的に取り組む。年度計画に盛り込んだ業務の実績は、厚労相の評価の対象となる。

方針案は医療DX推進の意義として、医療費適正化などを通じた医療・介護制度の持続性確保・国民負担の軽減のほか、▽医療サービスの安定的な提供▽医療サービスの質と患者の利便性の向上▽個人の健康増進への寄与▽サービス提供体制の強靭化──を掲げた。これらの実現に向け、「点で進んできたDXを、国がハブとなって〝線〟につなぎ、やがて〝面〟へ」とうたい、全国規模で医療などの情報を共有するプラットフォームの再構築を国が主導して進める。

また、基本的な方向性として、オンプレミス型からクラウド型のシステムへの移行を図り、業務効率化・生産性向上やセキュリティー対策の強化、データの共有による二次利用の促進を実現するとした。あわせて、第1期の目標として、28年度までに200床以上の病院(療養病床などが中心の病院を除く)で電子カルテ普及率100%を目指すと明記した。

第1期に予定する主な取り組みのうち、データの共有関係では、▽電子カルテ情報共有サービスの全国的な運用を26年冬を目途に開始(26年度)▽救急隊と医療機関が傷病者情報を共有する「救急医療情報連携プラットフォーム」を全国で展開(28年度)▽電子カルテ情報共有サービスで共有する情報を「歯科」にも拡大(29年度)──などを並べた。

米川副会長が全国展開を重視した同サービスは、医療機関や薬局などで患者の電子カルテ情報を共有する仕組みで、医療等情報プラットフォームの一部を構成する。

標準化された電子カルテ
歯科は来年度から普及開始

歯科分野については、方針案とは別途、電子カルテの普及に向けた基本的な考えとスケジュール案を示した。現状、カルテ作成支援機能を持つオンプレミス型のレセプトコンピュータが広く普及している実態を踏まえ、既存システムの改修により電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応を進めるとした。

今年度中に歯科診療所向けの電子カルテの標準仕様を策定し、来年度中の普及開始を目指す。共有サービスへの対応は、歯科情報に先行して、診療情報提供書(紹介状)の共有を29年度に開始することを目指す。歯科情報については今年度中に内容を確定し、28年度中にシステム改修に向けた要件定義などを行う。

電子処方箋導入
投薬日数の減少に効果

この日の部会では、電子処方箋の導入状況と今後の対応も報告された。6月時点の導入率は全体で41.3%となり、薬局では90.5%まで普及した一方、病院が20.9%、医科診療所が29.5%、歯科診療所が10.7%にとどまっている。電子処方箋管理サービスへの調剤結果登録の割合(月間)は94.3%だった。

厚労省が初めて実施した、電子処方箋導入による医薬品使用の適正化の効果検証の結果によると、電子処方箋を導入してから8~10か月が経過した薬局では、処方箋1枚あたりの投薬日数が約0.3~0.4日分減少した。

一方で、3月以前に管理サービスの運用を開始している施設の中には、薬剤情報登録や重複投薬チェックを十分に行っていない施設があることが別の調査でわかった。院外処方箋情報の登録実績がない施設の割合は、病院23.7%、医科診療所41.6%、歯科診療所72.5%。調剤結果の登録実績がない薬局は8.5%だった。

重複投薬チェックの実績がない施設の割合は、病院27.3%、医科診療所52.5%、歯科診療所73.6%、薬局19.3%。厚労省は引き続き、医療機関や薬局に対してデータ登録とチェックの実施を促すとしている。

医療関係団体などの委員
DXでの費用負担に懸念

方針案の内容や電子処方箋の今後の対応について委員から大きな異論はなかった。米川副会長は方針案に盛り込まれた、電子カルテの普及率を先行的に200床以上の病院で100%にする目標について、「中小病院や診療所にも前倒しで普及させ、着実に成果を上げてもらいたい」と述べた。

また、共有サービスで健診結果をオンラインで速やかに受け取ることができるようになれば、保険者の事務の効率化にもつながると期待し、「DX審査支払機構が策定する計画の中で、こうした取り組みをしっかり進めることも位置づけてほしい」と求めた。

電子処方箋については、薬剤情報の登録や重複投薬のチェックを徹底するとともに、「薬剤費への影響を国が検証し、適正化の効果額を示してほしい」と注文した。

ほかの委員からは、医療DXの推進について、電子カルテの導入やシステム改修などに伴う費用負担への懸念も示された。医療関係団体や自治体の代表委員は、医療機関や自治体への財政支援、費用対効果の明確化を求めた。

電子処方箋に関しては、重複投薬の防止や医療安全の向上といった効果を評価する意見が相次いだ。實松委員は「後期高齢者は複数の医療機関や薬局を利用する場合が多く、これまで以上に薬剤情報が適切に共有されることは安全・安心な医療につながる」と指摘した。

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