HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2026年8月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2026年8月下旬号

検査ツール活用した「簡易歯科健診」
後期支援金加算・減算制度に追加
厚労省「攻めの予防医療」で重点施策

厚生労働省は7月23日、高市政権が掲げる「攻めの予防医療」の実現に向けた、同省関係の重点施策をまとめ、公表した。後期高齢者支援金の加算・減算制度に、簡易検査ツールを活用した「簡易歯科健診」を追加することなどを盛り込んだ。重点施策の関連費用は令和9年度予算の概算要求に反映させる方針だ。

簡易歯科健診は、唾液を採取して歯周病のリスクを評価する口腔スクリーニングで、結果に応じて歯科医療機関への受診につなげる狙いがある。厚労省は、歯科医師による口腔診査に比べ、時間やコストを減らせるため導入しやすいと説明する。

現行の加算・減算制度では、合計点数が上位に入ると減算対象となる総合評価指標に、歯科関連として「歯科健診・受診勧奨」と「歯科保健指導」の2項目があるが、簡易歯科健診を具体的にどのような形で追加するかは、今後検討する。

厚労省の重点施策は「U・E・N・O・Plan」と銘打ち、上野厚労相主導で取りまとめた。「U・E・N・O」は「Understand(理解する)」、「Exercise(運動)」、「Nourish(栄養を与える)」、「Optimize for Better Health(より良い健康への最適化)」の頭文字。

国民の健康寿命を延ばし、社会保障の支え手を増やすことを目的に、①栄養・食生活②がん・循環器病など③歯科保健④認知症⑤リハビリテーション⑥性差に由来するヘルスケア──の6つを「直ちに取り組むべき第一弾の重点領域」に位置づけた。

上野厚労相は同日、記者団に「(健康づくりの)さらなる効果を目指すためには、行政や保険者による能動的な介入を強化し、実効的な行動変容を促進する『攻め』の取り組みを具体化することが大切だ」と述べた。

医療費の削減効果について問われると、「様々な施策に取り組む中で、具体的なエビデンスに基づいて評価・検討しなければならないので、今の段階で各施策によってどれだけの削減効果があるかはわからない」と答えた。

THP指針改正し
職場の受診勧奨を強化

重点施策のうち③歯科保健は、高市首相が指示した「国民皆歯科健診」を実現するため、希望する国民が毎年歯科健診を受けられるよう、9年度から自治体、医療保険者の双方で簡易歯科健診を導入するとともに、制度化に向けて取り組む方針を示した。

職域では、簡易歯科健診を推進する観点から、同健診の加算・減算制度への追加のほか、10年度以降の実績を踏まえたさらなる普及策の検討や、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP指針)」の改正による、職場における歯科医療機関への受診勧奨の強化を掲げた。

自治体では、9年度から歯周病検診を現行の10歳ごとから5歳ごとに拡大するとともに、節目年齢にかかわらず、未受診の住民に対して簡易歯科健診を実施する自治体を支援し、10年度から健康増進法上の制度として普及できるよう検討する。

②がん・循環器病のうち、がんは第4期がん対策推進基本計画が10年度までの目標に掲げた「がん検診受診率60%」、「精密検査受診率90%」の達成に向け、就労状況に応じた受診勧奨の促進を打ち出した。そのための方策の一つとして、健康経営の視点にも立った事業主と保険者の連携の推進を挙げた。

また、THP指針を改正し、職場におけるがん検診の受診勧奨と、その結果に基づく医療機関への受診勧奨を強化する。

循環器病は保険者による生活習慣病の予防と早期発見を推進するとし、選択の余地を残しながらも、より良い方向に誘導する「ナッジ理論」や個人インセンティブを活用して、特定健診の実施率向上に取り組む好事例を横展開するなどとした。

⑥性差に由来するヘルスケアは▽更年期世代の女性に対応する医療の推進▽男性の中高年期の健康課題への対応の推進▽「女性の健康総合センター」の機能強化▽職場健診の機会を活用した対応の推進──などを柱に据えた。

データヘルス基盤に
「AI予防医療モデル」構築

厚労省はまた、①~⑥の取り組みの共通の土台として、保険者の予防・健康づくりを充実させるため、データヘルスを基盤とした、AIによる健康課題の分析や効果的な保健事業の提案ができる「AI予防医療モデル」の9年度以降の構築を目指す。また、同モデルも活用しながら、予防・健康づくりの成果の創出を促すため、保険者に対するインセンティブのあり方を8年度に検討する。

加算・減算制度などへの反映を念頭に置いた検証事業も実施する。エビデンス構築に向けたデータを提出する組合に対する支援(9~11年度)を想定している。

これらは、5月の「攻めの予防医療に向けた性差に由来するヘルスケアに関する副大臣等会議」の取りまとめに盛り込まれている。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年