健保ニュース
健保ニュース 2026年8月合併号
特定保険医療材料 「逆ザヤ」の実態把握へ
中医協部会 今秋に販売側の意見聴取
厚生労働省は7月22日の中医協保険医療材料専門部会(部会長・笠木映里東京大大学院教授)に、特定保険医療材料の市場実勢価格が償還価格を上回る「逆ザヤ」の実態把握のため、製造販売業者や卸売業者など販売側から意見を聴取することを提案し、了承された。秋からヒアリングを始め、来年春に取りまとめ、令和10年度診療報酬改定に向けて逆ザヤ解消のための対応を議論する。
特定保険医療材料における逆ザヤについては、8年度診療報酬改定で、同一機能区分内でシェアが分散している場合に、市場実勢価格や物価変動に基づき基準材料価格を改定できる特例を設けた。
また、8年度改定の答申書附帯意見では、特例を設けてもなお、市場実勢価格が償還価格を上回る機能区分が生じる要因を把握することが求められ、同部会で検討することが4月8日の中医協総会で承認されていた。
厚労省は逆ザヤが生じる要因を、総費用(原材料費や研究開発費などの経費を含むコスト)が償還価格を下回る場合と、上回る場合に分けて考察した。
前者は、販売側の利益が大きいことが逆ザヤの要因だとした。市場が寡占または独占状態で、製造販売業者の価格交渉力が高い場合に生じやすく、償還価格の調整による解消は困難だとした。後者は、総費用を償還価格に反映させるためには、総費用の正確な把握が課題となるが、原価開示度が極めて低い製品もあると指摘した。
また、実勢価格は購入側(医療機関や保険薬局など)と販売側との価格交渉で決まるため、業界構造や、セット販売による値引きなどの取引慣行が影響を与えている可能性があると分析した。
健保連の佐竹陽一理事は、市場が独占状態の場合に逆ザヤが生じる仕組みや、物価・賃金上昇の影響、採算割れになるメカニズムの分析も重要だと主張した。
その上で、7年度の価格調査で、全1314機能区分のうち、逆ザヤが生じたのは460機能区分(全機能区分の35%)だったが、8年度材料価格改定で、特例と不採算品再算定により引き上げられたのは43機能区分にとどまると指摘し、「逆ザヤの要因が過当利益ではないことを業界からも示してほしい」と述べた。
茂松茂人委員(日本医師会副会長)は、実勢価格の形成プロセスには多様な要因が考えられるが、公的医療保険制度が適用される以上、「コストの透明性や原価開示の可能性について、さらに対応を強化していくことが望ましく、販売側にも努力をお願いしたい」と述べた。
守田恭彦専門委員(ニプロ執行役員)は、逆ザヤが生じる要因の多くは、総費用が償還価格を上回る場合に該当するとの認識を示した。原材料費や流通経費の高騰など、総費用を上げる要因が多くあり、上昇傾向が続いているとした。