健保ニュース
健保ニュース 2026年6月下旬号
健保連が医療・介護の国民意識調査
約4割が高齢者の負担増容認
2割負担区分引き上げに賛成多数
健保連は3日に記者会見を開き、1月にインターネットで実施した「医療・介護に関する国民意識調査」の結果を発表した。医療費や介護費の今後の負担のあり方について、「高齢者の負担増はやむを得ない」は37.1%に上り、「現役負担増はやむを得ない」(18.1%)の2倍以上となった。年代別でも、全ての年齢層で高齢者の負担増を容認する声が目立つ。具体的に高齢者の医療費自己負担の見直しでは、原則2割負担となっている現在の70~74歳の年齢区分を5歳引き上げる案に賛成が35.7%となり、反対の22.5%を上回った。5歳引き上げにより、70~74歳は3割、75~79歳が原則2割となる。健保連の米川孝副会長は会見で、「健保連の提言に沿う内容の回答だった」と総括した上で、提言に対する理解を深める活動を推進する意向を示した。
米川副会長 提言への理解深める
米川副会長は負担のあり方など制度の見直しに「わからない」との回答が多かった点にも着目し、「問題を認識しても、解決の仕方がわからない層が多い。我々の提言に対する理解を深める活動をしていかなければならない」と強調した。
高齢者の医療費自己負担は現状70~74歳が原則2割、75歳以上が原則1割となっているが、健保連は昨年9月、「『ポスト2025』健康保険組合の提言」を発表し、負担割合の年齢区分を5歳引き上げることを提案。将来的に原則3割とする案も示した。
調査は、日本の医療・介護提供体制や公的保険制度に対する国民の認識やニーズを把握し、今後のあるべき方向性を検討するための基礎資料とすることを目的に、今年1月にウェブアンケート方式で20~80歳代の男女3000人に実施した。
現役世代と高齢世代の医療費などの今後の負担のあり方については、高齢者の負担増容認は全体の37.1%、現役世代の負担増容認は18.1%で、現役世代の負担増を求める声は少数派だった。最も多かったのが「わからない」の44.7%。
現役世代よりも高齢者の負担増を求める声が全ての年代で多くを占め、70代で38.8%、80代で41.9%が「高齢者の負担増はやむを得ない」と回答した。このうち、75歳以上の40.0%が高齢者の負担増を容認している。
高齢者の医療費自己負担では、原則2割の70~74歳の年齢区分を5歳引き上げる見直しについて、賛成が全体の35.7%で反対の22.5%を上回った。20~50代では賛成が反対を上回るが、見直しの影響を最も受ける70代は賛成31.9%、反対31.6%と賛否が拮抗した。
高齢者の自己負担を将来的に現役世代と同じ原則3割とする案には、賛成が全体の34.2%、反対は29.9%だった。
20代の賛成が44.6%など40代以下では賛成が反対を上回り、若い世代ほど賛成が多い傾向がみられる。
一方、60代以上は反対が賛成を上回り、反対と「わからない」を合わせると約7割に達し、慎重な姿勢が目立つ。
全世代で保険料負担「重い」
医療保険制度の負担に関する現状認識について、保険料の負担感を尋ねた。
令和4年度の被用者保険の被保険者1人あたり月額3万7435円(事業主負担含む)、国民健康保険の1世帯あたり月額1万1133円の平均保険料を「非常に重い」(全体の28.1%)、「やや重い」(同34.6%)と感じる人は計62.7%に上り、全世代で「重い」が多かった。
給付抑制・負担増抑制が多数
医療保険の給付と負担のあり方は、「給付を大幅に絞り込み、負担を軽減」(同15.0%)と「給付を絞り込み、負担の水準を維持」(同25.0%)を合わせると40.0%で、給付抑制・負担増抑制を求める回答が多数を占めた。「わからない」は27.2%だった。
一方、70~80代は、給付維持・充実のため負担増容認を支持する回答が多く、70代で約4割、80代で約5割を占める。
今後の医療費を賄う財源については、「自己負担の増加」が全体の30.2%と具体策の中で最も多かった。「税金の引き上げまたは新設」が12.0%、「保険料の引き上げ」は10.8%だった。「わからない」は44.1%。
医療費の仕組みに関しては、「子どもの受診傾向」と、受診傾向に影響していると考えられる自治体の「子ども医療費助成」の認知度に焦点を当て質問した。
具体的に、自身が軽度の体調不良の際の対応と、同居する18歳未満の子どもが身体の不調を訴えた(または不調に見える)場合の対応を尋ねたところ、「まず医療機関を受診する」の割合は、大人30.6%に対し、18歳未満は69.2%と2倍以上の差がみられた。
子ども医療費助成の仕組みについて、「自治体の負担は自己負担部分のみで、残りの医療費は保険料などを財源として医療保険で負担している」ことを、「知らない」と回答した割合が全体の67.1%で、認知度が低かった。
健保組合加入者の満足度
他保険者より高水準
保険者が提供するサービスの満足度なども調べた。
満足度は、健保組合の加入者で「かなり満足」「やや満足」を合わせて39.3%と、協会けんぽ(満足23.0%)や国保(同25.7%)など他の保険者よりも高い水準であることがわかった。
一方、「どちらともいえない」との回答が半数以上を占めており、サービス向上や周知の余地があることも示唆されている。
受けているサービスの種類は、健保組合加入者の約1割(9.5%)が「5種類以上」と回答しており、相対的に多い傾向がみられる。