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健保ニュース 2024年3月中旬号

令和6年度薬価基準改定を告示
薬剤費ベース改定率▲4.67%
新創加算 返還が加算の571億円超

厚生労働省は5日、令和6年度薬価基準改定を官報告示した。薬価調査にもとづき薬価基準を全面改定し、4月1日以降に医療保険から給付される医薬品の告示数は内用薬7264品目、注射薬3567品目、外用薬2060品目、歯科用薬剤26品目の合計1万2917品目となる。

医療費ベースの改定率は▲0.97%(市場拡大再算定等を除く実勢価等改定分は▲0.83%)、薬剤費ベースの改定率は▲4.67%(同▲4.00%)で、国費1200億円程度の抑制となる。

革新的新薬の薬価を維持する「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」は、314成分506品目に適用し、対象企業は99社。6年度から企業指標にもとづく加算係数の設定(加算額の調整)を廃止した。

品目要件では、「希少疾病用医薬品」が「171成分243品目」と最も多く、次いで、「加算適用品(89成分173品目)」、「新規作用機序医薬品のうち基準該当品(25成分40品目)」などと続く。

加算総額は約314億円で、348成分571品目に加算を適用した4年度薬価改定時の約520億円から200億円以上も減少。6年度薬価改定で、改定前薬価を維持する加算額とする一方、実勢価格の薬価との乖離率が全品目の平均乖離率を超える品目は「新創加算」を適用しないよう見直したが、その基準に「49成分78品目(27企業)」が該当した。

一方、後発医薬品が上市された製品など「新創加算」の要件を満たせずに、これまで受けた累積加算額を控除される対象は79成分149品目。返還額は885億円となり、加算額を571億円も上回った。

これまでの「新創加算」の加算額と返還額をみると、▽平成28年度(加算額1060億円、返還額▲360億円)▽30年度(同810億円、同▲650億円)▽令和2年度(同770億円、同▲750億円)▽4年度(同520億円、同▲860億円)─と推移。

毎年薬価改定では、「新創加算」の算定ルールについて、加算を適用する一方、累積加算額の控除は適用せず、1年間、返還を留保しているため、3年度以降、返還額が加算額を大きく上回る状況が続く。

今後の控除時期について、6年度薬価改定の骨子は、「6年度薬価改定に伴う見直しによる医薬品開発への影響等を検証したうえで、次期薬価改定で結論を出す」との方向性を示している。

他方、後発品収載から10年以内で置換え率が80%未満の長期収載品の薬価を置換え率に応じ▲1.75~▲2%を特例的に引き下げる「Z2」は、63成分134品目が対象となった。

後発品収載10年経過後から薬価を引き下げる長期収載品の対象は432成分884品目。このうち、後発品と同じ薬価まで段階的に引き下げる「G1」は127成分318品目、後発品薬価の1.5倍まで段階的に引き下げる「G2」は92成分160品目、「G1・2」による引き下げを受けない品目等を補完的に引き下げる「C」は213成分406品目となる。

「G1」ルールを前倒しで適用する、2年度以降の改定で後発品置換え率80%を超えたことのある品目は、アレルギー疾患治療剤の「ディレグラ配合錠」ドライアイ治療剤の「ムコスタ点眼液UD2%」など32成分83品目に適用された。

医療上必要性が高い医薬品として、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し安定供給を確保している「基礎的医薬品」は、424成分1452品目(安定確保医薬品13成分113品目)が対象に該当。

6年度薬価改定で、収載からの経過期間に関する要件を現行の25年から15年に短縮したため、5年度薬価改定時の328成分1094品目(同10成分60品目)から成分数、品目数とも大きく増加した。

市場拡大再算定による引き下げでは、23成分38品目を適正化する。
 市場規模が拡大した新型コロナウイルス感染症治療薬の「ベクルリー点滴静注用100㎎」は4万6498円で、現行薬価(6万1997円)から約25%の値下げ。

効能追加により市場規模が拡大した癌治療薬の「バベンチオ点滴静注200㎎」の類似品となる「オプジーボ点滴静注」は、現行薬価(3万1918円~36万6405円)からそれぞれ約15%を引き下げる。

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