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健保ニュース 2024年3月中旬号

日本維新の会が医療改革へ提言
現役世代の負担軽減へ 高齢者窓口負担を3割
後期支援金廃止し税財源化

日本維新の会は5日、「医療制度の抜本改革(医療維新)に向けての政策提言書」をまとめ、公表した。

高齢者を支えるために、現役世代に課せられる社会保険料の負担は限界に達しているとの認識を示したうえで、医療制度改革の議論をこれ以上先送りすることはできないと指摘。今こそ持続可能な医療制度の構築を核とした抜本改革を断行せねばならないと強調し、高齢者医療制度における窓口負担を原則3割とする見直しなどを提言した。

「政策提言書」は、▽持続可能な医療制度への抜本改革▽健康で安心できる医療制度の構築─との対応方針にもとづき、①窓口負担改革②制度改革③生産性向上─の観点から具体的な改革を進言。社会保険料の負担軽減・少子化対策財源の捻出を実現し、豊かな社会保障と現役世代の活力の好循環を生み出すとの考えを示した。

具体的な改革のうち、①は、「低い窓口負担が医療利用の過剰を招き、医療資源が必ずしも効果的に利用されていない状況を生んでいる」と問題提起。世代間での公平性を確保して、医療サービスの効率と質を高めるために、高齢者医療制度における窓口負担について、現役世代と同じ3割負担とする。

さらに、②は、「後期高齢者医療制度の財源構造は、現役世代からの支援金等に大きく依存し、急速に進む高齢化のなかで持続可能性と公平性の観点から問題を抱えている」と指摘。現役世代から後期高齢者医療制度への支援金等を廃止し、完全な税財源にもとづく制度に移行することで、「給付と負担」の対応関係(対価性)の明瞭化を図る必要があると強調した。

また、後期高齢者の生活を重視し、その尊厳に配慮しながら適切な医療を提供することを促す、後期高齢者向けの新たな診療報酬体系を再構築するよう提言。慢性疾患管理における医師の継続的な診療計画作成を適切に評価し、複数の医療機関が連携して高齢者をサポートできる体制を整えるほか、後期高齢者や家族が終末期の医療に関して意思決定を行う過程をサポートする体制を構築することにより、質の高い医療サービスの提供と同時に医療費の適正化に寄与するとした。

一般医薬品の保険適用見直しについても提言。湿布やロキソニンなどの痛み止め、アレグラなど花粉症治療薬、ヒルドイドなど保湿剤を含む市販薬が保険適用されている状況は医療費の不必要な膨張に繋がっていると問題視し、市販薬がある医薬品の保険適用を見直すよう訴えた。

他方、医療保険における保険料割引制度である「健康ゴールド免許制度(仮称)」を導入し、定期的な検診受診者や健康リスクの低い被保険者などの保険料を割引きすることで、1人ひとりが健康価値を高める行動を起こすインセンティブを設ける対応も盛り込んだ。

日本の社会保険システムは職域や地域ごとに異なる保険料の仕組みで運営され、過度な複雑化をもたらし、保険者機能を効果的に果たすことを妨げる要因となっていると主張。財政基盤の不均衡や保険料の不均一性は利用者間での不公平を生じさせていると指摘し、保険者の統合を検討すると明記した。

このほか、かかりつけ医に求められる機能を指標化して登録制を導入するとともに、診療報酬上の評価で明確な差別化を図るべきとの考えを示した。

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