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健保ニュース 2024年3月上旬号

4年度健保組合医療費の動向
前年度比6.5% 3129億円の増加
入院は微減も外来が大幅増

健保連はこのほど、「令和4年度健保組合医療費の動向に関する調査」を公表した。4年度の医療費総額は前年度比6.5%増の5.1兆円。3年度は、前年度のコロナ禍による患者の受診控え等の反動で同9.1%増の4.8兆円に上昇したが、さらに3129億円増えた。入院の同0.3%減に対し、外来は同11.9%増と大きく上昇している。医療費は、高齢化や医療の高度化に伴い毎年2%程度、伸びる傾向だが、全体で差し引き▲0.94%程度のマイナス改定となった4年度診療報酬改定の影響も考慮すると、4年度の健保組合医療費は相当程度、高い伸び率となり、今後の動向が注視される。

診療区分別医療費伸び率
入院は微減も外来は12%増

第Ⅰ部「令和4年度健保組合医療費の概況」は、1383組合の加入者2830万2519人(本人1639万9912人、家族1154万1392人、70~74歳の高齢者36万1215人)のレセプト(3億4658万583件)をもとに分析した。

4年度の医療費総額は5兆1261億円で、前年度比6.5%、3129億円増加した。
 診療区分別にみると、▽医科入院1兆1869億円(前年度比0.3%減)▽医科入院外2兆2834億円(同11.9%増)▽歯科計6116億円(同1.8%増)▽調剤1兆205億円(同6.3%増)▽訪問看護236億円(同13.6%増)─で、医科入院の伸び率がマイナスに転じる一方、医科入院外は二桁を超える伸び率となった。

加入者1人当たり医療費
外来の伸び率は13%増

加入者1人当たり医療費は、▽医科入院4万1938円(前年度比0.4%増)▽医科入院外8万677円(同12.7%増)▽歯科計2万1610円(同2.4%増)▽調剤3万6059円(同7.0%増)▽訪問看護834円(同14.3%増)─で、いずれも増加した。

このうち、本人は、▽医科入院3万8926円(同1.1%減)▽医科入院外7万7304円(同11.0%増)▽歯科計2万2206円(同2.3%増)▽調剤3万5325円(同5.9%増)─。家族は、▽医科入院4万1687円(同2.2%増)▽医科入院外8万1597円(同16.1%増)▽歯科計2万272円(同2.3%増)▽調剤3万5164円(同9.2%増)─だった。

医療費3要素をみると、「受診率(件/千人)」は、▽医科入院74.1(同1.6%減)▽医科入院外6293.9(同7.9%増)▽歯科計1799.5(同2.4%増)▽調剤4066.3(同10.1%増)▽訪問看護11.8(同14.7%増)─となり、医科入院のみ減少した。

「1件当たり日数」は、▽医科入院8.2日(同1.6%減)▽医科入院外1.4日(同0.7%減)▽歯科計1.5日(同2.6%減)▽調剤1.2日(同0.9%減)▽訪問看護5.9日(同1.0%減)─で、いずれも減少。

「1日当たり医療費」は、▽医科入院6万8817円(同3.6%増)▽医科入院外9430円(同5.5%増)▽歯科計8060円(同3.1%増)▽調剤7634円(同2.2%減)▽訪問看護12円(同0.8%増)─で、調剤を除き増加した。

疾病別医療費構成割合
新生物が12%で最高

第Ⅱ部「令和4年度疾病別医科医療費(調剤を含む)の動向」は、1310組合の加入者2709万6042人(本人1596万1791人、家族1113万4322人)の電算処理レセプト(3億2732万308件)をもとに分析した。

疾病別医療費は、1枚のレセプトに記載された1ないし複数の傷病名に対して、各傷病名に結び付く診療行為や薬剤点数を分配し、医療費を疾病ごとに振り分けた結果にもとづき算出。

医科計(1310組合:3兆9254億円)における疾病19分類別医療費の構成割合をみると、「新生物」が11.7%と最も高く、「呼吸器系疾患」(10.8%)、「内分泌・栄養・代謝疾患」(9.2%)、「循環器系疾患」(8.9%)、「新型コロナ関連等」(7.6%)の上位5疾病で全体の48.3%を占めた。

前年度調査で「7.5%」だった「消化器系疾患」と「3.9%」だった「新型コロナ関連等」の順位が入れ替わった。

医科入院は、▽新生物(20.2%)▽循環器系疾患(16.5%)▽損傷・中毒・外因性(8.1%)▽消化器系疾患(8.0%)▽筋骨格系・結合組織疾患(6.6%)─の上位5疾病で全体の59.4%。

医科入院外(調剤を含む)は、▽呼吸器系疾患(12.5%)▽内分泌・栄養・代謝疾患(11.2%)▽新生物(9.2%)▽新型コロナ関連等(8.4%)▽皮膚・皮下組織疾患(7.0%)─の上位5疾病で全体の48.4%を占めた。

医科計の1人当たり医療費は新生物が1万6970円と最も高く、呼吸器系疾患(1万5692円)、内分泌・栄養・代謝疾患(1万3393円)、循環器系疾患(1万2909円)と続く。

前年度に比べ、「新型コロナ関連等」が110.9%と大きく増加したほか、「腎尿路生殖器系疾患」(前年度比22.8%増)、「呼吸器系疾患」(同15.3%増)などで大きなプラスの伸び率となった。

4年4月の不妊治療の保険適用に伴い、疾病分類上、不妊治療にかかる医療費の多くが「腎尿路生殖器系疾患」に計上されるため、伸び率に影響した。

医科計の医療費3要素の伸び率をみると、「受診率」の「新型コロナ関連等」が前年度比138.9%増)と大きく増加する一方、「1件当たり日数」は前年度比9.6%減少。「1日当たり医療費」は、「腎尿路生殖器系疾患」が同13.7%増、「呼吸器系疾患」が同6.3%減少した。

のほか、推計平均在院日数は、「精神・行動障害」の69.4日が最も長く、▽神経系疾患(29.6日)▽皮膚・皮下組織疾患(25.6日)▽循環器系疾患(21.3日)─と続く。

推計1人当たり医療費は、▽周産期発生病態(65万5668円)▽循環器系疾患(63万5198円)▽精神・行動障害(60万8615円)▽新生物(60万7939円)─の順だった。

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