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健保ニュース 2023年4月中旬号

保険者の健診・保健指導検討会
第4期上期 加算・減算制度見直しを了承
実施率底上げや定量評価

厚生労働省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(座長・津下一代女子栄養大学特任教授)は、3月30日に会合を開き、2024年度から開始される第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて了承した。

今後、厚労省HP、健保連イントラネットを通して周知されるほか、今夏に厚労省・健保連共催による全国説明会(仮称・第3期データヘルス計画及び第4期特定健診・特定保健指導に向けた説明会)の開催が予定されている。

見直しのポイントは、①加算対象基準となる実施率の算定ルールの導入②減算の評価方法の見直し・項目の整理③減算要件の一部見直し─など。なお、加算除外基準は現行基準をベースに維持される。健保組合および共済組合、関係団体の代表者・学識経験者で構成される「後期高齢者支援金制度の加算・減算ワーキンググループ」による検討をベースに議論した。

①では、特定健診・保健指導実施率の底上げを図る施策として、加算該当基準を過去の実績にもとづき算定するルールを導入した。

まず、「加算対象に該当する基準値(実施率)」未満を5つに区分し、それぞれに加算率を固定。基準値は厚労省が算定ルールにもとづき毎年度設定し、実施年度の前年度の9月に保険者に通知する。

保険者は、次年度の目標設定の際、事前に示された基準値を参考に事業計画作成や予算編成を行うことができる。

基準値は、「保険者種別ごとの支援金年度の4年前の実施率の平均値-1×SD(支援金年度の4年前の実施率の標準偏差)」を用いた算定ルールにより算出。▽同基準値以上の実施率▽全保険者目標値(特定健診70%・保健指導45%)の達成─どちらにも該当しない場合は、加算が適用される枠組みとなる。

厚労省は、「実施率の伸びに連動させた実態に即した基準値を用いることで、取り組みが遅れている保険者の底上げが期待される」と説明した。

②では、減算の評価指標の評価方法を公平かつ客観的な評価とするため、アクティビティ評価からアウトプット・アウトカムの定量評価に移行。データヘルス計画の共通評価指標や健康スコアリングレポートの評価指標を導入し、該当する評価項目には厚労省がNDB集計値をセットする。

他方、評価項目は、これまでの保険者の取り組みや実施体制の連続性・継続性が損なわれないよう現行ベースとしつつ、項目の新設・廃止・統合を行った。

③は、減算要件を最小限かつ必須となるものに限定する方針の下、項目を絞り、配点も見直した。必須項目以外は要件とせず、保険者の努力の度合いを加点方式で点数化し、上位から下位までのグラデーションで評価する。そのうえで、減算対象になる要件を「合計点数で上位20%かつ総合評価項目の必須項目を満たすこと」とした。

なお、①~③いずれも、第4期上期(2024~2026年度)の取り扱いとなるため、2027年度以降は中間見直しで検討を行う。

第3期加減算効果検証
実施率の底上げに寄与

厚労省は、2018~2020年度支援金で加算対象となった保険者数の推移を特定健診・保健指導実施率の区分に応じて分析した。

特定健診実施率が区間2(単一:45%以上57.5%未満、総合:42.5%以上50%未満)に該当する保険者30組合のうち、実施率が向上し、翌年度の加算を免れたのは19組合(63.3%)。

保健指導実施率が区間3(単一:2.75%以上5.5%未満、総合:1.5%以上2.5%未満)に該当する保険者105組合のうち、実施率が向上し、翌年度の加算を免れたのは85組合(81.0%)だった。

厚労省は、「特定保健指導実施率が低調な保険者に対しては、加算を免れる努力を促進させ、実施率の底上げに一定程度は寄与したと言えるのではないか」と考察した。

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