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健保ニュース 2023年3月下旬号

コロナ高額薬・ゾコーバ薬価収載
1治療薬価は5万1852円
特例再算定 引き下げ率は67%上限

中医協は8日の総会で、軽症〜中等症Ⅰの新型コロナウイルス感染症患者治療薬「ゾコーバ錠」を15日付で薬価収載することを承認した。

2月15日に中医協が了承した「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」を踏まえた内容で、1日薬価7407.40円、1治療薬価5万1851.80円と算定。

類似薬効比較方式(Ⅰ)を適用し、対象疾患の類似性と投与対象患者の類似性の双方から、効能・効果、薬理作用、組成・化学構造式および投与形態・剤型・用法の観点にもとづく比較薬として、「ラゲブリオカプセル200㎎(平均1治療薬価9万4312円)」と「ゾフルーザ錠20㎎(同4453.50円)」を選定した。

2剤の比較薬について、「ゾコーバ錠」との類似性の程度を同等であるとみなしたうえで、2剤の1治療薬価の平均値を本剤の薬価とし、「有用性加算(Ⅱ)5%」も含め「125㎎1錠 7407.40円(1治療薬価5万1851.80円)」と算定。

5年度のピーク時における投与患者数を37万人と見込み、市場規模は192億円と予測した。補正加算が適用されているため新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象に該当する一方、「H1(市場規模が100億円以上)区分」として費用対効果評価の対象品目にも該当した。

他方、薬価収載時に中医協総会で検討することとしていた市場拡大再算定を行う場合の引き下げ率の上限の取り扱いについては、予測販売額と比較して、短期間で市場規模が急激に拡大した場合に限った措置を新設。

推計データにもとづき、「年間販売額が予測販売額から10倍以上に急拡大し、極めて大きい額として3000億円超となった場合」に限り、現行ルールの上限値である▲50%から▲2/3(▲66.7%)に引き上げる市場拡大再算定の特例を新たに設ける。

当該措置を講じることになった場合、本剤における特例的な対応として設けた取り扱いであることから、対応後の状況も含めた価格調整について検証を行うこととした。

このほか、厚生労働省は、「ゾコーバ錠125㎎の保険適用上の留意事項」として、▽投与対象は最新のガイドラインを参考▽併用薬剤の投与の有無、妊娠の可能性の有無など禁忌事項を確認▽使用に当たっては文書による説明と患者の同意を取得▽製造販売業者から医療機関等への供給開始の時期およびその取り扱いは別途通知─とする対応を提案。

製造販売業者から医療機関等への供給開始の時期について厚労省は、「基本的には、企業の準備が整い次第、一般供給は開始される形となる」と説明。現場に混乱が起こらないよう、周知していく意向を示した。

留意事項通知は、3月14日に発出し、3月15日から適用することとした。
 健保連の松本真人理事は、市場拡大再算定の特例について、「1500億円を超える可能性が否定できないなか、保険財政に与える影響を考慮して特別な対応を図るのが今回の趣旨である」との認識を示し、「下げ止めを厳格化するとしても3000億円超という基準は甘いと言わざるを得ない」と指摘。

そのうえで、「いくつか課題はあるが、今後、しかるべきタイミングで対応することを条件に提案を了承する」と述べた。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)も、「今後も高額医薬品が薬価基準に収載される可能性があるなか、今回の対応で皆保険制度は維持できるのかといった懸念は残る」と問題提起し、「高額薬剤の薬価のあり方については、今後もタイミングを逃すことなく、該当医薬品の特徴なども踏まえ、中医協で議論を進めていくべき」と要望した。

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