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健保ニュース 2023年2月下旬号

経済同友会がデジ相に提言手交
重点計画 戦略的な優先順位づけ不可欠

経済同友会(櫻田謙悟代表幹事)は8日、「豊かな社会の実現に向けたデータ利活用の基盤を速やかに整備する」と題する提言を公表し、同会のデータ戦略・デジタル社会委員会寺田航平委員は10日、河野太郎デジタル相に提言を手交した。

デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の遂行には、戦略的な優先順位づけが不可欠だと強調し、特に健康・医療・介護分野のデジタル化は喫緊の課題と訴えた。

同会は4年4月に中間提言を公表し、新型コロナウイルス感染症禍に課題となった日本のデジタル化の遅れに対する方策を打ち出した。一方、公表後に「骨太の方針2022」、デジタル庁の重点計画等が示されたものの、工程表に明確な優先順位づけがなく、「すべての工程が遅延する懸念がある」と危惧。今回の最終提言には、▽データ流通の加速化▽健康・医療・介護分野のデジタル化▽デジタル人材不足への対応─を政府が優先して取り組むべき事項として位置づけた。

提言は、マイナンバーが共通IDとして行政・民間問わず広く流通するデジタル社会の構築をめざす。マイナンバーカードと健康保険証の一体化に導入期限が示されたことで、大幅な前進を期待しつつも、マイナンバーに個人情報を紐づける施策の実現には国民の理解と協力が必要とし、データ利活用によって国民生活の利便性が向上するメリットを明示することが先決と主張した。

また、健康・医療・介護分野のデジタル化を喫緊の課題として、①個人②社会③研究機関─に資する方策を提言した。

①は、マイナポータル上で民間PHR事業者にレセプトデータや特定健診等データを提供できる仕組みを一段進め、電子カルテ等の医療情報の提供や民間企業への運用拡大を要望。さらに、保管期限が過ぎた医療情報も患者自身が管理できる仕組みを提案し、データ活用による効果的な医療のかかり方や健康増進が長寿社会に求められるとした。

②は、レセプトデータの審査支払機関への提出ルールの見直しを要望した。受診から医療データの集計、公開までのタイムラグを短縮することで、タイムリーな政策判断に活用すべきと明記。感染症流行期の病床確保といった安定した医療インフラの実現につながるとした。

他方、デジタル化に向け基盤強化が必要としつつも、リフィル処方箋のアナログ運用や電子カルテシステムの低普及率、医療機関間のデータ未連携等の対応の遅れを指摘。医療機関に対する診療報酬の差別化・優良認定を行い、標準規格の電子カルテの普及を加速させることで、5年で普及率100%をめざすべきと提案した。

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