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健保ニュース 2023年2月下旬号

3年度健保組合医療費の動向
受診控え反動で前年度比9.1%増
コロナ禍前比でも3.9%増に

健保連はこのほど、「令和3年度健保組合医療費の動向に関する調査」を公表した。3年度の医療費総額は前年度比9.1%増の4.8兆円。2年度はコロナ禍による患者の受診控え等の影響で前年度比▲4.8%の4.4兆円に減少したが、その反動で3年度は上昇した。コロナ禍前の元年度と比べても3.9%増加しており、1年当たり換算で2%程度の伸び率となる。医療費は、高齢化や医療の高度化に伴い毎年2%程度、伸びる傾向だが、毎年薬価改定(▲0.9%)が実施された影響も考慮すると、3年度は例年に比べ大きく伸びた。

診療区分別医療費伸び率
入院7%増、外来13%増

第Ⅰ部「令和3年度健保組合医療費の概況」は、1387組合の加入者2849万5355人(本人1629万7423人、家族1183万1806人、70~74歳の高齢者36万6126人)のレセプト(3億2367万2299件)をもとに分析した。

3年度の医療費総額は4兆8132億円で、前年度比9.1%、4020億円増加した。
 診療区分別にみると、▽医科入院1兆1904億円(前年度比6.8%増)▽医科入院外2兆405億円(同13.2%増)▽歯科6011億円(同5.3%増)▽調剤9604億円(同6.2%増)▽訪問看護療養費208億円(同14.6%増)─で、訪問看護療養費と医科入院外が大きく増加。

1人当たり医療費は、▽医科入院4万1774円(同7.9%増)▽医科入院外7万1610円(同14.3%増)▽歯科2万1095円(同6.4%増)▽調剤3万3703円(同7.3%増)─といずれも増加し、特に医科入院外の伸び率が大きい。

医療費3要素をみると、「受診率(件/千人)」が、▽医科入院75.3(同3.3%増)▽医科入院外5832.9(同9.5%増)▽歯科1757.5(同8.6%増)▽調剤3693.1(同9.8%増)─。

「1件当たり日数」が、▽医科入院8.4日(同▲1.0%)▽医科入院外1.4日(同0.0%増)▽歯科1.5日(同▲5.0%)▽調剤1.2日(同0.0%増)─。

「1日当たり医療費」が、▽医科入院6万6415円(同5.5%増)▽医科入院外8941円(同4.6%増)▽歯科7821円(同2.6%増)▽調剤7802円(同▲2.4%)─。

「受診率」は調剤と医科入院外で大きく増加。「1日当たり医療費」は医科入院で5%を上回る一方、調剤は減少した。

1人当たり医療費は
9.2%増の15.9万円

第Ⅱ部「令和3年度医療費の動向:健保連調査」は、1308組合の加入者2719万1747人(本人1582万9097人、家族1136万2758人)の電算処理レセプト3億408万8875件)をもとに分析した。

3年度の1人当たり医療費は15万8600円となり、前年度に比べ9.2%増加した。医科入院外が同13.5%増と最も大きく増加し、次いで、歯科入院の同12.2%増、歯科入院外の同6.6%増、調剤の同6.4%増、医科入院の同5.6%増と続く。

年齢階層別では、「0~4歳(前年度比28.3%増」、「15~19歳(同13.5%増)」、「20~24歳(同12.7%増)」、「5~9歳(同11.7%増)」、「10~14歳(同11.2%増)」、「25~29歳(同11.0%増)」、「30~34歳(同10.5%増)」と、比較的に若い年代で二桁を超える伸び率となった。

本人は、同7.8%増の15万9364円で、歯科入院(同13.8%増)、医科入院外(同10.3%増)、医科入院(同6.5%増)で伸び率が大きい。

家族は、同11.3%増の15万7533円に増加し、本人に比べ若干低い。医科入院外(同18.2%増)、歯科入院(同10.5%増)、歯科入院外(同7.7%増)で大きく伸びた。

疾病別医療費構成割合
新生物が12%で最高

疾病19分類別医療費は、1枚のレセプトに記載された1ないし複数の傷病名に対して、各傷病名に結び付く診療行為や薬剤点数を分配し、医療費を疾病ごとに振り分けた結果をもとに分析した。

医科計(1308組合:3兆5941億円)における疾病19分類別医療費の構成割合をみると、「新生物」が12.1%と最も高く、次いで、「呼吸器系疾患」(10.3%)、「内分泌・栄養・代謝疾患」(9.7%)、「循環器系疾患」(9.5%)、「消化器系疾患」(7.5%)の上位5疾病で全体の49.1%を占める。

前年度調査で「10.1%」だった「内分泌・栄養・代謝疾患」と「10.0%」だった「呼吸器系疾患」の順位が入れ替わった。

医科入院は、▽新生物(19.9%)▽循環器系疾患(16.3%)▽消化器系疾患(8.1%)▽損傷・中毒・外因性(7.3%)▽筋骨格系・結合組織(6.4%)─の上位5疾病で全体の58.0%。

医科入院外は、▽内分泌・栄養・代謝疾患(12.0%)▽呼吸器系疾患(11.9%)▽新生物(9.6%)▽皮膚・皮下組織疾患(7.7%)▽消化器系疾患(7.4%)─の上位5疾病で全体の48.6%を占めた。

1人当たり医療費は新生物が1万5937円と最も高く、次いで、呼吸器系疾患(1万3614円)、内分泌・栄養・代謝疾患(1万2877円)と続く。

前年度に比べ、「他に分類されないもの」が14.6%増加したほか、「呼吸器系疾患」(前年度比13.4%増)、耳・乳様突起疾患(同11.4%増)などで大きなプラスの伸び率となった。

医療費3要素の伸び率をみると、「受診率」の「他に分類されないもの」(同21.7%増)が大きく増加する一方、「1日当たり医療費」は「損傷・中毒・外因性」(▲3.1%)などが減少した。

医科入院は、「呼吸器系疾患」(同13.4%増)で大きく増加する一方、「皮膚・皮下組織疾患」(同▲4.6%)などは減少。医科入院外は、「他に分類されないもの」(同20.8%)が大きく増加する一方、「周産期発生病態」(同▲5.6%)のみ減少した。


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