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健保ニュース 2022年12月中旬号

令和2年度国民医療費
受診控え等で3.2%減の43兆円
1人当たりは34万600円

厚生労働省は11月30日、令和2年度の国民医療費が前年度に比べ3.2%(1兆4230億円)減の42兆9665億円だったと公表した。

3.2%減少した要因としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う受診控えや、新たな生活様式の浸透による呼吸器系の受診率低下のほか、診療報酬改定(0.46%減)、人口増減(0.3%減)などがマイナスに影響した。一方、人口の高齢化や医療の高度化などの増加がプラス要因として作用した。

1人当たりの国民医療費は34万600円で、過去最高額となった前年と比べ3.2%(1万1200円)減少した。

国民医療費は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となる疾病の治療費を推計したもので、評価療養、選定療養、不妊治療における生殖補助医療、正常分娩、健康診断、予防接種等に要した費用は含まれない。

2年度の国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は、同0.05ポイント上昇して8.02%となっている。

制度区分別の国民医療費は、被用者保険の給付分が同3.5%減の10兆2934億円、国民健康保険の給付分が同3.3%減の8兆7628億円、後期高齢者医療の給付分が同2.4%減の15兆2868億円、患者等負担分が同4.8%減の5兆1922億円。

被用者保険の給付分のうち、健保組合は同4.8%減の3兆5259億円、協会けんぽは同2.6%減の5兆7040億円、船員保険が同4.2%減の184億円、共済組合等が同3.8%増の1兆451億円だった。

都道府県別の国民医療費は、最高が東京(4兆2972億円)、大阪(3兆2991億円)、神奈川(2兆7925億円)と続く。一方、最低は鳥取(1984億円)、次いで島根(2595億円)、福井(2600億円)となった。

1人当たりでは、最高が高知(45万7600円)、鹿児島(42万6700円)、長崎(42万1000円)と続く。最低は埼玉(29万8200円)、次いで千葉(29万9700円)、神奈川(30万2300円)となった。

年齢階層別に国民医療費をみると、0~14歳は2兆1056億円(構成割合4.9%)、15~44歳は5兆129億円(同11.7%)、45~64歳は9兆4165億円(同21.9%)、65歳以上は26兆4315億円(同61.5%)となっており、65歳以上の医療費が6割を占めている。1人当たりでは、65歳未満が18万3500円、65歳以上が73万3700円、75歳以上は90万2000円となっている。

男性1人当たり国民医療費は65歳未満が18万4700円、65歳以上が80万2000円。女性は65歳未満が18万2200円、65歳以上では68万1200円といずれも男性を下回る。

国民医療費の財源は、保険料が前年度比3.1%減の21兆2641億円(構成割合49.5%)で全体の半分近くを占める。保険料のうち被保険者負担分は同2.9%減の12兆1159億円(同28.2%)、事業主負担分が同3.3%減の9兆1483億円(同21.3%)。公費は同2.8%減の16兆4991億円(同38.4%)で、このうち国庫負担分が同2.4%減の11兆245億円(同25.7%)、地方負担分が同3.7%減の5兆4746億円(同12.7%)となっている。患者負担分と健康被害補償の原因者負担分は同4.8%減の5兆2033億円(同12.1%)だった。

診療種類別でみると、医科診療医療費は同3.7%減の30兆7813億円で、全体の71.6%を占める。このうち入院が同3.3%減の16兆3353億円、入院外が同4.1%減の14兆4460億円。歯科診療医療費は同0.4%減の3兆22億円、薬局調剤医療費は2.5%減の7兆6480億円となっている。

医科医療費を傷病分類別にみると循環器系の疾患が同2.2%減の6兆21億円で最も多く、次いで新生物(腫瘍)が同1.2%減の4兆6880億円、筋骨格系および結合組織の疾患が同4.0%減の2兆4800億円、損傷・中毒およびその他の外因の影響が同2.5%減の2兆4274億円、腎尿路生殖器系の疾患が同1.3%減の2兆2733億円と続く。65歳未満では新生物が最も多く、65歳以上では循環器系の疾患が最も多かった。



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