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健保ニュース 2022年12月上旬号

デンソー健保など11組合
特定健診共同事業を開始
医師会と連携し受診率向上へ

愛知県内の11健保組合は、このほど、県医師会などと連携し、治療中を理由に特定健診が未受診となっている被扶養者の受診率を向上させる取り組み(治療中患者の特定健診受診率向上(あいちモデルの構築))を、開始した。

特定健診・特定保健指導は、40歳以上75歳未満のすべての被保険者・被扶養者を対象に実施されるが、治療中であっても実施対象者に含まれる。しかし、特定健診の検査項目には、治療中に実施する検査項目が含まれていることが多い。そのため、患者が治療中に実施した検査と同じ検査を受けることに抵抗を示すケースが見受けられ、その結果、受診率の低下を招くこととなり、各健保組合では、その対応に頭を悩ませている。

こうしたなか、デンソー健保組合と愛鉄連健保組合では昨年度、厚生労働省の高齢者医療運営円滑化等補助金を活用し、治療中を理由に特定健診未受診の女性の被扶養者を対象にした事業を開始。愛知県医師会の協力のもと、刈谷市を中心とした三河地域の医師会と連携し生活習慣病患者の治療中における検査結果を、受診医療機関(かかりつけ医)から提供する体制を構築。その結果、受診率が向上するなど一定の成果が見受けられた。

これを受けて4年度の事業としては、3年度に構築した体制を活用し、参加組合数を2から11に拡大。健保組合と愛知県医師会や医療機関との連携スキームを構築し、対象地域を広げ、特定健診の受診率向上に取り組むこととなった。

事業の内容としては、①健保組合が対象者(特定健診未受診者かつ生活習慣病関連治療中者)を抽出し、検査結果情報提供の案内を作成し、対象者あてに発送②対象者は医療機関へ受診した際に案内を提示し、医師が検査情報を専用シートへ転記③転記情報を元に、委託業者が特定健診データ作成④医療機関からの情報を元に個人結果表を作成し、受診者へ発送。治療中項目以外にて高値項目があった際には、医師への相談を勧奨─の流れで行う。

今回の事業に参加する11健保組合は以下の通り。デンソー(代表組合)、アイシン、愛鉄連、オークマ、サンゲツ、中部電力、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタ車体、トヨタ紡織、マキタ。

連携強化による事業の拡大を
愛知連合会吉田常務理事

今回の事業の開始にあたり、健保連愛知連合会の吉田雄彦常務理事は、本紙の取材に対し、厚生労働省の「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第3.2版)」に、「治療中であっても生活習慣を意識し、改善に取り組む端緒となることが期待されることから、かかりつけ医から本人へ受診勧奨を行うことが重要」との記載があるにもかかわらず、こうした事業に取り組む保険者は、現在のところ全国的に少ないと指摘。この取り組みを実施することで、特定健診の受診率向上に寄与することが見込まれるうえ、地域における医師会や医療機関と連携する枠組みを構築できるメリットなどがあるとして、愛知県内の全健保組合が参加できる共同事業としての実現に意欲を示した。

さらに吉田常務理事は、こうした事業が全国に広がることで、健保組合としての価値が向上するとともに、かかりつけ医をはじめとするさまざまな政策を実現するうえで推進力になるとの期待感も示した。

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