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健保ニュース 2022年6月上旬号

財政審が「骨太方針」反映へ建議
かかりつけ医機能発揮へ制度整備
リフィル処方箋 患者目線で積極活用

財政制度等審議会(榊原定征会長)は5月25日、政府が6月に策定する「骨太方針2022」への反映に向け、「歴史の転換点における財政運営」に関する基本的考え方を提言した「建議」を鈴木俊一財務大臣宛てに提出した。社会保障の受益と負担のアンバランスを是正するため、地域医療構想の着実な推進や「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備など、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向けた取り組みが最も重要と提言。他方、患者・国民目線から「リフィル処方箋」の積極的な活用を図るほか、令和5年度の毎年薬価改定の完全実施をはじめ、薬剤費の適正化を徹底すべきと強調した。

財政制度等審議会の「建議」は、例年、春と秋の2回にわたり、財政健全化に向けた考え方や今後の財政運営、次年度の予算編成に関する考え方をまとめ、財務大臣に要請している。

「春の建議」は、「歴史の転換点における財政運営」として、やるべきことを先送りせず、経済・財政の「正常化」に向けた取り組みを加速させていく必要があると指摘。

2025年度のプライマリーバランス黒字化などの財政健全化目標を堅持し、危機に対応できる余力を持った持続可能な財政構造の確立に向け、歳出・歳入両面の改革を着実に進めていくべきとした。

歳出改革では、新型コロナウイルス感染症の中でも少子高齢化は進み、医療・介護の費用は増大していると問題提起。

全世代型社会保障の構築により受益(給付)と負担のアンバランスを是正し、国民が必要とする社会保障制度の持続可能性を高めることで、社会保障に対する不安を解消していく取り組みが急務と訴えた。

社会保障の各論のうち、新型コロナウイルス感染症への対応では、医療機関への財政支援のあり方について、感染拡大前など一定の合理的な時点と同水準での診療報酬を支払う手法の検討を改めて主張。他方、病床確保料の実績や患者の受け入れ実績等を遡って「見える化」する対応も求めた。

医療分野では、給付費の水準を抑制するための方策として、「効率的で質の高い医療提供体制を構築することが求められる」と指摘し、地域医療構想の着実な推進や「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備に取り組んでいくべきと明記。

また、公定価格である診療報酬・薬価を適正化する観点から、令和4年度の診療報酬改定・薬価改定における財務・厚生労働大臣合意事項について、引き続き取り組みを深化させる必要があるとした。

地域医療構想は、6年度からの「第4期医療費適正化計画」上も推進を必須事項とするなど、法制上の位置づけを強化するほか、都道府県における地域医療構想の達成状況の「見える化」や未達成の場合の責務の明確化などPDCAサイクルの強化も盛り込んだ。

「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備は、▽地域の医師、医療機関等と協力▽休日や夜間も患者に対応できる体制を構築▽在宅医療を推進─といった機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を備えた医療機関を「かかりつけ医」として認定。

国民の医療ニーズに即した外来医療提供体制を整備していくうえで、「緩やかなゲートキーパー」機能を発揮する「かかりつけ医」に対し、利用希望者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みの段階的な導入を検討するよう提言した。

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