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健保ニュース 2022年2月中旬号

医療保険部会が電子処方箋導入を議論
加入者1人負担額は月0.61円
佐野副会長 オン資導入促進を要請

社会保障審議会・医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は1月27日、電子処方箋について議論した。厚生労働省は電子処方箋の運用・保守にかかる費用について、全保険者の合計負担額は9.1億円、加入者1人当たりの負担額は月額0.61円と提示。同省が1年前にあたる令和3年1月の同部会に示した試算額と比べて精緻化が進み、合計負担額は0.7億円、加入者1人当たり負担額は0.04円それぞれ減少した。健保連の佐野雅宏副会長は、電子処方箋がオンライン資格確認のシステムを基盤としていることを踏まえて、医療機関等におけるオンライン資格確認の導入が進むよう繰り返し要請した。同省は電子処方箋の運用開始が5年1月に予定されていることを踏まえ、今通常国会に電子処方箋の導入に当たり必要となる医師法、歯科医師法、社会保険診療報酬支払基金法などの関連法改正案(薬機法等改正案として一括化)を提出する方針。

電子処方箋は、マイナンバーカード等を用いて本人確認するオンライン資格確認システムを拡張して運用する。医療機関が発行した電子処方箋を、社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が運営する電子処方箋管理サービスにより患者や医療機関・薬局が閲覧できるようになる。

導入により、▽紙の持参が不要などの利便性が向上する▽医療機関や薬局間の迅速な情報伝達が可能となる▽飲み合わせ確認や服薬指導、重複投薬や併用禁忌の薬剤投与の防止、ポリファーマシー防止(多剤等による有害事象の防止等)など、被保険者等にとってより適切な薬学的管理が可能となる─といった効果が期待されている。

厚労省が提示した運営費用の考え方は、被保険者、被扶養者にとって、利便性が高まるとともに、適切な受診・服薬、効果的な健康増進等に資する機能を有するとして、利益を受ける全ての加入者が公平に費用を負担する。

全ての機能が稼働する5年度以降の運用・保守費用9.1億円に対し、運用1年目(5年1~12月)は補助金を充て、1.6~5.6億円に抑える。同様に、加入者1人当たり負担額は月額0.61円に対し、1年目は0.11~0.37円に抑制する。

導入時期は、当初「4年夏」(4年9月頭)を予定していたが、システム開発業者の調達において、入札がなく再調達したため、「5年1月」へ5か月ほど後ろ倒しとなった。

佐野副会長は、電子処方箋、医療情報の活用ともオンライン資格確認のインフラ基盤を使うことが前提となっているとして、「電子処方箋からが、ある意味、この施策(オンライン資格確認)の本番のスタート」と位置づけた。合わせて、同日の会合で電子処方箋の前に議題にあがったオンライン資格確認システムの議論と繰り返しになるとしながら、同システムの普及を再度要請。効果把握と検証の仕組み作りや、一定程度定着し、一定の効果が上がるまでの期間の国による費用負担も要望した。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、全体像があったうえで、個別の役割や受益などを踏まえて費用負担のあり方を議論すべき、と要請してきたことに対する回答がないまま費用負担の提示があったとして、「大変遺憾だ」と発言。医療機関等にもメリットがあるなか、保険者だけが費用負担することに対し、疑問を呈した。

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