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健保ニュース 2022年新年号

中医協が「機能強化加算」を議論
患者への情報提供に意見集中
松本理事 ベース報酬の算定実績を

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は12月17日、総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、「かかりつけ医機能にかかる評価」をテーマに議論した。

かかりつけ医機能にかかる診療報酬を届け出ている医療機関の初診時における診療機能を評価することを目的に、平成30年度改定で新設された「機能強化加算」について、支払側委員からは、患者に対する情報提供のあり方に意見が集中した。

健保連の松本真人理事は、診療報酬改定の結果検証にかかる特別調査から、「地域包括診療加算」などを算定していなくても、すべての初診患者に「機能強化加算」を算定している医療機関が類推されると問題視し、ベースとなる診療報酬について一定の算定実績を求める見直しが必要と訴えた。

10月20日の中医協総会では、厚生労働省が提案した「かかりつけ医機能にかかる評価」の論点に対し、支払側委員が、「既存の枠組みを前提としたパーツの見直しに終始している」と問題視し、患者目線から現行の評価体系を再構築する必要性を提起していた。

この日の会合では、厚労省が、「小児かかりつけ診療料」にかかる評価のあり方に加え、財政制度等審議会が12月3日に取りまとめた「令和4年度予算の編成等に関する建議」でゼロベースの見直しを提言した「機能強化加算」の評価のあり方を論点として提示した。

このうち、「機能強化加算」については、日本医師会が実施した調査や診療報酬改定の結果検証にかかる特別調査の結果をもとに議論が進められた。

特別調査では、「機能強化加算」を届け出ている医療機関の方が、▽かかりつけ医機能を有している割合が高い▽初診でも他の医療機関の受診状況を伝える等、かかりつけ医機能にかかる診療が行われている割合が高い─他方、「かかりつけ医に関する院内掲示を見たことがある初診患者の割合は低い」等の結果が示された。

健保連の松本理事は、「かかりつけ医に関する患者への周知・広報は消極的であるという印象を持たざるを得ない」と指摘し、「院内掲示や文書を置いておくだけでなく、直接、患者に文書を渡す、あるいは説明をしないとなかなか理解は深まらない」と言及。そのうえで、▽病歴、受診歴、処方歴を確認する▽施設基準で、かかりつけ医機能を有する医療機関に医療機能情報提供制度への登録を定める▽かかりつけ医に関する研修を受ける▽ベースとなる診療料、加算について一定の算定実績を求める─などの見直しが必要との考えを示し、次期改定で対応するよう訴えた。

さらに、「かかりつけ医に関連する診療報酬全般について再構築が必要」と改めて強調し、「疾患を限定しない外来管理加算から慢性疾患等を罹患した場合の特定疾患療養管理料、さらに高血圧や糖尿病、高脂血症など複数の慢性疾患を罹患した場合の地域包括診療料・加算に移行することでわかりやすくなる」と患者目線から報酬体系を整理。患者と医師の信頼関係を築けるような形で要件、包括範囲、点数水準を整理することにより、「各報酬項目の位置づけや棲み分けがすっきりする」と主張したうえで、今後の検討を強く求めた。

支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「1人の患者に対し、かかりつけ医機能にかかる加算が複数算定されていることはないのか」と問題提起。

また、「現在のかかりつけ医機能にかかる加算は、算定するためにどうしたら良いかを考えている気がしてならない」と述べ、患者が診療報酬の算定を理解できるような情報提供のあり方を検討する必要があるとした。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、2年度改定で施設基準に追加された院内掲示等の情報提供について、「特別調査では、機能強化加算届出あり施設の初診患者の方が院内掲示を見たことがあると答えた割合が低い結果になっている」と指摘し、情報提供のあり方に対する診療側の認識を質した。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「機能強化加算は、かかりつけ医機能を評価するという政策目的に合致した評価方法であると受け止めている」と主張。

他方、院内掲示については、「今後も周知していくとともに、どういうやり方が最善かは検討していけば良い」との認識を示す一方、「すべての患者に説明するのは物理的に不可能である」と理解を求め、保険者に対しても、かかりつけ医の役割を加入者に周知するよう要請した。

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