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健保ニュース 2021年12月中旬号

薬剤給付の適正化で松本理事
湿布薬は1処方35枚を上限

薬剤給付の適正化については、ビタミン剤やうがい薬、皮膚保湿剤などについて、累次の診療報酬改定にわたり使用目的の明確化を実施してきた。

政府の「骨太方針2021」でも、「OTC類似医薬品等の既収載品の保険給付範囲について引き続き見直しを図る」との方針が盛り込まれている。

平成28年度改定では、外来患者に対して1処方につき計70枚を超えて湿布薬を投薬する場合、原則として超過分の薬剤料を算定しない見直しを行い、改定後、70枚を超えて調剤された処方箋の割合は減少した。

他方、令和2年度に調剤された外用の消炎・鎮痛薬について、処方箋1枚における処方枚数の分布をみると、「64枚以上70枚以下」が「2261万枚」と最も多く、次いで、「29枚以上35枚以下」の「1475万枚」と続き、「36枚以上63枚以下」は急減している状況が明らかになった。また、「64枚以上70枚以下」のうち70枚の件数は99.5%を占めた。

厚生労働省は、これまでの薬剤給付の適正化の観点から実施している取組内容や処方実態を踏まえつつ、外用の消炎・鎮痛薬の適正使用に向けた対応を具体的な論点として提示した。

健保連の松本理事は、外用消炎・鎮痛薬の処方枚数の分布から、概ね1か月分に相当する「29枚以上35枚以下」を超えたところで処方箋枚数が急激に減少していると指摘し、「1処方につき35枚までを原則とすることで十分対応できる」との考えを示したほか、湿布薬に限らず幅広い観点から薬剤給付の適正化に取り組むよう要請した。

診療側の有澤委員も、「外用消炎・鎮痛薬の適正使用は重要な視点である」と述べ、必要に応じてより適正化を図ることも一つの方策であると述べた。

一方、診療側の池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、35枚は急性患者、70枚は慢性患者に対する処方であることに理解を求めたうえで、「1処方につき35枚までを原則とした場合、現場が混乱する可能性が高い」と主張し、激変緩和措置の必要性を訴えた。

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