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健保ニュース 2021年12月中旬号

3年度の市場実勢価格の速報値
平均乖離率 薬7.6%、材料3.8%
薬価は例年と同程度の水準に

厚生労働省は3日、医薬品と特定保険医療材料の市場実勢価格に関する令和3年度調査の速報値を中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の総会に提出した。

公定価格との平均乖離率は薬価が前回と比較し0.4ポイント減の約7.6%、材料価格が同2.0ポイント減の約3.8%で、これにもとづいて来年4月に公定価格を引き下げる。

薬価の平均乖離率は、平成30年度7.2%、令和元年度8.0%、2年度8.0%で推移しており、3年度も同程度の水準となった。

薬価と材料価格の改定は、市場実勢価格と公定価格との乖離を埋めるため、医療機関や薬局が販売事業者から購入した市場価格を品目ごとに加重平均し、調整幅(現行は薬価2%、材料価格4%)を上乗せした額を新たな公定価格とする。

3年9月取引分を集計した3年度薬価調査によると、平均乖離率は約7.6%で前回(2年度)の8.0%から0.4ポイント縮小した。

医療用医薬品の入札で談合を行った疑いにより公正取引委員会から調査中の医薬品卸売業者6社と独立行政法人国立病院機構の取り引きデータは集計から除外している。

投与形態別の乖離率は、内用薬が平均8.8%(2年度9.2%)で最も大きく、薬効群別にみると、▽高脂血症用剤(12.5%)▽その他のアレルギー用薬(12.2%)▽血圧降下剤(11.9%)▽その他の中枢神経系用薬(11.4%)▽消化性潰瘍用剤(11.2%)─は公定価格を11%以上も下回った。

注射薬は平均5.6%(2年度5.9%)、外用薬は平均7.9%(同7.9%)、歯科用薬剤は平均▲2.4%(同▲0.3%)の乖離率。

外用薬は、「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(8.7%)」、「眼科用剤(8.5%)」が公定価格を大きく下回る。

歯科用薬剤は市場実勢価格が公定価格を上回る「逆ザヤ」と呼ばれる現象が引き続きみられ、マイナスの乖離幅は前年度から拡大した。

薬価改定には特許期間中の薬価引き下げ緩和や市場拡大品の再算定など、政策的な措置があるが、これらを除いた市場実勢価格にもとづく次期薬価改定率は、単純計算で平均乖離率7.6%から、現行2%の調整幅を考慮した5.6%程度が想定される。

政府の4年度予算概算要求では医療費国庫負担が約12.1兆円とされており、医療費の薬剤費比率が約2割であることを踏まえると、国庫ベースで1400億円程度の財政効果があると想定される。

他方、3年5~9月取引分を集計した材料価格調査によると、平均乖離率は約3.8%で、前回(元年度)の5.8%から2.0ポイント縮小。現行4%の調整幅を下回る乖離率となった。

3年度薬価調査の結果について、健保連の松本真人理事は、「過去に比べ、平均乖離率は若干、小さくなったが、投与形態や薬効群別では大きな乖離が生じている」との認識を示した。

3年9月の後発品数量割合
79.0%で前年度から微増

厚生労働省は3日、令和3年9月取引分を対象とした薬価調査の結果、後発医薬品の数量割合は前年同月比0.7ポイント増の79.0%だったことを中医協に報告した。

後発品の数量割合は、診療報酬などによる使用促進策に伴い、平成29年9月の65.8%、30年9月の72.6%、令和元年9月の76.7%、2年9月の78.3%と着実に上昇してきたが、80%に近づくにつれ、伸び率は低下傾向にある。

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